【本訳とは】
読書をすることによってもたらされる恩恵は素晴らしいもの。こんなに素晴らしい恩恵を享受できるのが読書好きに限られるなんて、読書好きの私にとっても悲しいことです。外国語の知識がなくても、翻訳されていればその内容を理解できる。そんな翻訳のように、読書が苦手な人や本を読む時間がなかなか取れない人のために、名著といわれる本の内容を出来るだけ分かりやすく伝える活動を”本を訳する(=分かりやすく解説する)”という言葉から”本訳(ほんやく)”と名付けることにしました。
第一回はコチラ↓
本訳『7つの習慣』第二回では、相互依存そしてP/PCバランスとは何なのかについてまとめます。
習慣の三つの要素
第一回で『7つの習慣』が求める真の成功とは「優れた人格を持つこと」であると紹介しました。
人格とは、”繰り返される習慣の結果として育成されるもの”です。
「優れた人格を持つこと」を目指すのならば、習慣もそれなりのものに変化させる必要があります。
そしてその習慣こそが7つの習慣なのです。
思いの種をまき、行動を刈り取り、行動の種をまいて習慣を刈り取る。習慣の種をまき、人格を刈り取り、人格の種をまいて人生を刈り取る。
サミュエル・スマイルズ( 作家 / 1812~1904 )
一度身についた習慣を変えることはなかなか難しいことですが、本書の著者スティーブン・コヴィーは、きちんとしたプロセスと強い決意さえあれば、習慣は変えることも断ち切ることもできると断言しています。
習慣には引力があります。
目標とする場所に辿り着くことができないのは悪い習慣のせいなのです。
習慣は知識、スキル、やる気の三つの要素から成り立っています。
知識は”何をするか、何故するか”という質問に答えてくれるもの。
スキルは”どうやってするか”を示すもの。
やる気は”実行したい気持ち”つまり動機です。
生活の中で習慣を確立するためには、この知識、スキル、やる気の三つの要素が必要なのです。
この三要素に磨きをかけることが習慣の質を高めることにつながります。
このプロセスを難しく感じる人も多いかもしれません。
けれどこのプロセスを通らずして、真の成功に行き着くことはできないのです。
幸福とは、最終的に欲しい結果を手に入れるために、今すぐ欲しい結果を犠牲にすることによって得る果実にほかならない。
スティーブン・コヴィー
「7つの習慣」が目指す相互依存とは
「7つの習慣」は、私たちの生活や人間関係の効果性をより良いものにするアプローチです。
この習慣を身につけることで、私たちは”依存”から”自立”へ、そして”自立”から”相互依存”へと成長していくことができます。
第一段階:依存
一番最初の段階である”依存”は赤ちゃんに例えることができます。
赤ちゃんは自分一人の力で生きていくことができません。
つまり他の人に依存しています。
この”依存”の段階にいる人は「あなた」というパラダイム(世の中を見るレンズ)を持っています。
・「あなた」が私の世話をする
・「あなた」が結果を出してくれる
・「あなた」がやってくれないとダメだ
・結果が出ないのは「あなた」のせいだ
このように、”依存”の段階に位置する人は結果を得るためには常に他人を頼るしかありません。
第二段階:自立
この段階から一段階上がったものが”自立”です。
”自立”の段階にいる人は、独立した人間であり「私」というパラダイムを持っています。
・「私」はできる
・「私」の責任だ
・「私」が結果を出す
・「私」は選択できる
このように”自立”の段階に位置する人は、自分の努力で結果を得ることができます。
全ての成り行きを他者に委ねていた”依存”からするとこの”自立”は大きな成功です。
実際多くの人たちがこの段階をゴールと思い、それに向かって努力しています。
しかし、実はこの”自立”は最も高いレベルにあるものではないのです。
最終段階:相互依存
最も高いレベルに位置している段階、それは”相互依存”です。
相互依存は、自立した人間同士が手を取り合っている状態と言えます。
この状態にある人は「私たち」というパラダイムを持っています。
・「私たち」はできる
・「私たち」は協力できる
・「私たち」が才能と能力を合わせれば、もっと素晴らしい結果を出すことができる
このように、自分の努力と他人の努力を合わせることで最大の成果を出すことができるのです。
そして、この状態こそが有意義な生活を生み出してくれます。
これが「7つの習慣」が”相互依存”を目指す理由です。
各習慣の大まかな内容
では7つの習慣がどのようなものなのか大まかに確認しておきましょう。
まず第1、2、3の習慣とは、自己克服と自制に関連した習慣です。
これは依存から自立へと成長するプロセスとも言えます。
そして第4、5、6の習慣とは、チームワーク、協力、コミュニケーションに関連した習慣です。
つまり、第1、2、3の習慣で自立した人間という私的成功を目指し、それから第4、5、6の習慣を身につけることで、自分の努力と他人の努力を合わせて最大の成果を出すという公的成功を目指すという流れになっています。
どうして私的成功が先かというと、私的成功無しに公的成功は成しえないから。
全てを他人に頼り切っている人が、一個人として他者と協力関係になることは出来ないからです。
相互依存の段階に到達するためには、まず自立していなければなりません。
だから、まず第1、2、3、の習慣で依存から自立を目指すということです。
最後の第7の習慣は、肉体・社会・情緒・知性・精神という人生における4つの基本的な側面において、定期的かつバランスよく改善を図る習慣です。
日々のメンテナンスの役割を担う習慣といっていいでしょう。
第1、2、3習慣で他者からの自由を手に入れ、自分自身を楽しく知り、自分を信じる力を身につける。
↓
第4、5、6習慣で人間関係など悪化していた状況を改善するやる気を取り戻す。
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第7の習慣によって、他の6つの習慣をメンテナンスし続け、真の自立と効果的な相互依存の土台を作ることができるようになる・・・。
これが各習慣の大まかなガイドラインになります。
ガチョウと黄金の卵―P/PCバランスとは
次に7つの習慣を理解する上で大事なP/PCバランスについて触れたいのですが、これは「ガチョウと黄金の卵」の寓話に例えるとより分かりやすくなります。
ある貧しい農夫が、飼っていたガチョウの巣の中に黄金に輝く卵を発見しました。最初は誰かのいたずらだろうと思って捨てようとしましたが、念のため市場に持って行くと、なんと純金であることが分かりました。それから毎日、毎日、農夫は巣の中で黄金の卵を発見しました。その黄金の卵を売り、農夫は大金持ちになりました。すると農夫は欲が増していき、せっかちになってしまい、一日一個しか産まれない黄金の卵を待つことができなくなり、ガチョウを殺してお腹の中の黄金の卵を全部取ってしまうことにしました。しかしお腹を開けてみると中は空っぽでした。こうしてついに農夫は黄金の卵も黄金の卵を産んでくれるガチョウも失くしてしまったのでした。
この寓話から何を学べるのか。
それは真の効果性についてです。
真の効果性には二つの側面があります。
一つ目は、目標を達成すること、結果を手に入れること。
これは先程の寓話に例えると、黄金の卵といえます。
そして二つ目は、その結果を手に入れるために使う資源、あるいは目標を達成する能力。
これは先程の寓話に例えると、ガチョウといえます。
黄金の卵ばかり追い求めると、寓話の農夫がそうであったように、ガチョウを失ってしまうことになりかねません。
逆にガチョウの世話ばかりしていると、今度はガチョウを世話する資力を失ってしまいます。
つまり、黄金の卵だけが大事なわけでもなく、ガチョウだけが大事なわけでもなく、どちらも大事。二つのバランスを取ることが大事だということです。
これをP/PCバランスといいます。
P/PCバランスとは目標達成(Performance)のPと、目標達成能力(Performance Capability)のPCから名付けられています。
資源には主に3種類あります。
物的資源、金銭的資源、人的資源です。
このそれぞれにP/PCバランスの重要性があるのです。
このバランスを取るには難しい判断が要求されます。
けれどもこれこそが効果性の真の本質なのです。
そして7つの習慣はこの効果性の定義とパラダイムに基づいているものなのです。
~第三回に続く~
まとめ
・習慣は知識、スキル、やる気の三つの要素から成り立っている
・7つの習慣が目指す状態は相互依存
・真の効果性には二つの側面がある
①目標を達成すること、結果を手に入れること
②その結果を手に入れるために使う資源、あるいは目標を達成する能力
・二つのバランスを取ることが大事。P/PCバランスの重要性
第一回、第二回で7つの習慣の基本的な概念、そして大まかなガイドラインについて学びました。
そこから分かることは、いかに7つの習慣が上辺のテクニックを示したものではなく、根本的な部分から改善を図るものであるかということです。
次回の第三回では一つ目の習慣である第一の習慣について紹介します。
それでは~。