1冊目 本訳『7つの習慣』第一回:7つの習慣とは

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【本訳(ほんやく)とは】


自分の知らない言語は、そのままでは読むことはできません。読むには辞書を引いたり、言語スキルを身につけたりしなければなりません。けれども母国語に翻訳されていればスラスラと内容を理解することができる。そして、それまで読むことのできなかった部分には素晴らしい言葉が書かれていたということに気付くことができます。

これと同じように、あらゆる本には素晴らしい内容が秘められています。でもこの素晴らしい内容に触れられるのが読書好きに限定されることは、本が好きな私にとっても、とても悲しいことです。

読書が苦手な人にも、本に書いてある素晴らしい内容を知って欲しい・・・外国語を訳するとスラスラ読めるようになるのと同じで、本を簡単にまとめ直す(=訳する)ことで読書が苦手な人や、本を読む時間がなかなか取れない人にも、その本の持つ素晴らしい内容を伝えることができたら・・・

そういう思いからいろいろな本の内容をできるだけ簡単に分かりやすく皆さんに伝える活動をやっていくことにしました。

翻訳された文章のように、本の内容をより身近に分かりやすく伝えられることを願って、”本を訳する(=まとめ直す)”という言葉からこの活動を”本訳(ほんやく)”と名付けることにしました。

この活動を通して、少しでも多くの人が読書する喜びと素晴らしさに気付いていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。


今回本訳するのはスティーブン・コヴィーの世界的名著『7つの習慣』です。

本訳『7つの習慣』第一回では、そもそも7つの習慣とは何なのか、何故7つの習慣を身につけるべきなのかについてまとめます。

状況を変えるにはまずは自分から

『7つの習慣』にはまず前提があります。

その前提とは「何か状況を変えるには、まず自分たちを変える必要がある」ということです。

”自分たちを変える”とは”自分たちのものの見方そのものを変える”ということ。

自分たちを変える必要が何故あるのかというと、「成功」といわれるような人生には、原則があり、その原則を理解し、実践し、自分のものにしないことには、人が真の成功を手に入れ、生涯続く幸福を手に入れることはないから。

この原則は「笑顔さえあれば解決する~」や「態度さえ変えれば解決する~」みたいな上辺のテクニックではありません。

上辺のテクニックは真の成功ではなく、表面的な偽の成功を掴むことしかできません。

<表面的な成功>とは才能などに対する社会的な評価のこと。

これに対して<真の成功>とは優れた人格を持つことです。

本訳第一回7つの習慣1

「7つの習慣」とは真の成功に導くための原則を自分の中に深く浸透させるためのものなのです。

自分のパラダイムを理解する

「7つの習慣」の本質を知るためには、まず<パラダイム>を理解し、パラダイムを転換させる方法を知らなければなりません。

パラダイムとは”世界を見る見方”です。

このパラダイムは地図に例えることができます。

地図にはその場所の様子が描かれていますが、その地図がそもそも正確ではなく間違っていたら、ただ迷い続けるだけでしょう。

全ての人は自分なりのパラダイムという地図を持っています。

私たちが経験することは全てこのパラダイムをもとに解釈しているのです。

普通は自分が持っている地図が正しい地図なのか間違っている地図なのかは知りません。それどころか自分たちがこのような地図を持っていることさえ気づいていません。

人によって持っている地図は違うので、同じ出来事を前にしても、ある人は「Aである」と言ったり、またある人は「いやBだ」と言ったりするのです。

この意見のすれ違いは何故起きているのか?それは持っている地図、パラダイムが違うからなのです。

私達は世界をあるがままに見ることはできません。私達はパラダイムという名のレンズを通してしか世界を見ることができないのです。

本訳第一回7つの習慣2

私達は自分たちの持つ地図、パラダイムによって物事を判断しています。

そしてその判断に従って、行動や態度を決めているのです。

行動や態度はそれが習慣化されると人格を形成します。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

マザー・テレサ(カトリック教会の修道女 / 1910~1997)

「7つの習慣」が目指す真の成功は「優れた人格を持つこと」でした。

つまり優れた人格を持つには、行動や態度から変えていく必要があるのです。

この行動や態度の源はパラダイムなので、まずはこの自分の持つパラダイムを転換する必要があるということです。

本訳第一回7つの習慣3

悪の葉っぱに斧を向ける人は千人いても、根っこに斧を向ける者はひとりしかいない

ソロー(アメリカの作家、思想家 / 1817~1862 )

正確な地図を持つことが大切

地図であるパラダイムは大切なものです。

しかし、日本地図が日本そのものでないのと同じように、地図はあくまでも地図であり現実そのものではないのです。

”現実そのもの”とは原則からなっているものです。

原則とは公正さ、誠実、正直、人間の尊厳、奉仕、貢献・・・といったものであり手法(=やり方)ではありません。

手法とは、具体的な活動・あるいは行動のことであり、これらはある特定の状況でしか当てはめることができません。

これに対して、原則とは人生の真理であり、そのため応用力があります。

例えるなら、原則は場所そのものであり、パラダイムである地図は価値観と言えます。

つまりパラダイムをを原則に一致すればするほど、正確かつ機能的なものになるということです。これは正しい地図を持つことと同じです。

正確な地図を持てば、迷うこともなくなり、目的地により早く辿り着くことができます。

本訳第一回7つの習慣4

必要なプロセスを踏まずして真の成功は得られない

真の成功を得るためには、今まで説明してきたようなパラダイムの理解・転換が必要なのですが、多くの人はもっと単純な上辺のテクニックを好みます。(「笑顔さえあれば解決する~」や「態度さえ変えれば解決する~」みたいなものです)。

何故なら手っ取り早く、質の高い生活や有意義な人間関係を築くことができそうに見えるからです。

けれどこれらの上辺のテクニックは短期的な成功しか生まず、落ち込みや苛立ちをもたらすのみです。

本訳第一回7つの習慣5

”千里の道も一歩から”とことわざにもあるように、実際は必要なプロセスを省略することはできません。

本訳第一回7つの習慣6

本書のメインテーマである「7つの習慣」は、真の成功を得るために必要な原則に中心をおき、人格に基づいた個人の成長、有意義な人間関係の育成についての”インサイド・アウト”というアプローチを提供します。

インサイド・アウトとは、自分自身の内面(インサイド)を変えること、つまり自分自身の根本的なパラダイム、人格、動機などを変えることから始めるということです。

原則なくして真の成功なし。

つまり真の成功を得るためには、原則を理解し、原則に沿った行動や考え方をしなければならないということ。そのための手助けをなすものが7つの習慣であるのです。

~第二回に続く~

まとめ

・前提「何か状況を変えるには、まず自分たちを変える必要がある」

・「7つの習慣」とは真の成功に導くための原則を自分の中に深く浸透させるためのもの

・<真の成功>とは優れた人格を持つこと

・「7つの習慣」の本質を知るためには、まず<パラダイム>を理解し、パラダイムを転換させる方法を知る必要がある。

・パラダイムとは”世界を見る見方”

・原則は場所そのもの、パラダイムは価値観

・パラダイムを原則に一致すればするほど、正確かつ機能的なものになる

・上辺のテクニックは短期的な成功しか生まず、落ち込みや苛立ちをもたらすのみ

・「7つの習慣」は”インサイド・アウト”というアプローチを提供する

・インサイド・アウトとは、自分自身の内面(インサイド)を変えること

これらのことをまとめていて、なんだかマイケル・ジャクソンの『マン・イン・ザ・ミラー』の歌詞と内容が似ているなぁと思いました。

◎関連記事◎

「世界をよりよい場所に変えたいなら、まずは鏡の中の自分を変えよう」と『Man In The Mirror』の曲の中でマイケルジャクソンは私たちに訴えます。今回はこの『Man In The Mirror』の歌詞の内容を紹介します。

「何か状況を変えるには、まず自分たちを変える必要がある」、「世界をよりよくしたいなら、まずは鏡の中の自分から」

これはやっぱり人生の真理なのでしょう。

それでは~。

スティーブン・コヴィーの世界的名著『7つの習慣』を出来るだけ簡単に分かりやすく本訳していきます。第二回は、相互依存そしてP/PCバランスについてです。
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