私たちは、運動をすると疲れを感じます。
それは、実際に筋肉がエネルギー切れになったからだと思っている人が多いでしょう。
エネルギー切れになったから、足が棒のように動かなくなったりする・・・。
もっともそうな理論ですよね。
けれど、逆に「もう動けない!」となった後に、なんとか力を振り絞って、歩き続けることができた経験はありませんか?
でも、エネルギー切れになったから、足が動かなくなるという理論が正しければ、ちょっとこれっておかしいと思いませんか?
何故なら、もしこの理論が正しければ足が棒のようになってしまった時点でエネルギー切れを起こしているというわけですから、どんなに力を振り絞っても足は動かせないはずですよね。
どうして、筋肉の限界を感じているのに、まだ動かし続けることができてしまうのか。
それは、”私たちが感じる肉体の疲労は脳が作り出しているから”なんです。
これはケープタウン大学の運動・スポーツ科学の教授ティモシー・ノークスの研究により明らかになっています。
競技中の極限状態のアスリートの体の中で何が起こっているのか検証したところ、筋肉には生理的な不具合は何ら認められなかったのに、脳が筋肉に向かって止まるよう指示していることが分かったのです。
この”脳が筋肉に向かって止まるよう指示している”というのが、私たちが感じる”疲労感”なのです。
このことが明らかになり、ノークスは、「疲労はもはや肉体で実際に起きているものと考えるべきではない。むしろ、感覚や感情というべきものだ」と述べています。
これと同じことが自己コントロールにおいても起きています。
例えば、勉強やダイエット、禁煙などの目標に取り組んでいて、精神的な限界を感じ、途中でやめたくなることがあると思いますが、この感じる精神的な限界も本当の限界ではなく、脳がエネルギー消費を節約するために作り出した疲労感なのです。
だから途中で「もう駄目かも」と精神の限界を感じても、「いや!まだあきらめない!」と気力を振り絞れば、目標を達成できる可能性が大いにあるということです。
とは言っても、本当に筋肉が限界に近かったり、精神的にまいっていたりする場合もあるので、やり過ぎには注意してください。
慢性的な疲れがあるのに、頑張りすぎてしまうことは体調を崩してしまうことにつながりかねません。
ただ、そうではなくて「あともうちょっと頑張ることが出来れば目標達成できるのに体が限界っぽい・・・」「ここまで頑張ってきたのに、なんか急にムリな気がしてきた・・・」という場合に、「いや、もしかしたらこの自分が感じている疲労感は脳が作り出しているだけなのかも」と思って疲労感を一旦はねのけてみると、意外と頑張ることができるかもしれない・・・ということです。
なので、もし次「あきらめたくないのに疲労感を感じてきた・・・」ということがあったら、今回のことを思い出してみてください。
自分でも気づかなかった、粘り強さを発見できるかもしれませんよ。
それでは~。
<参考にした本>
今回紹介した内容はこちらの本を参考にしました。
興味を持った方は是非読んでみてください。