【読書メモとは】
私は本を読むときは、心に留めておきたい一節を見つけたら半透明の付箋を貼るようにしています。それだけで終わる場合もありますが、より詳しく記憶しておきたいという場合には読書メモを取ります。この記事は、そんな私の読書メモを書き起こしたものです。
<著者サミート・M・クマール博士について>
フロリダ州ブロワード郡にあるメモリアル・ヘルスケア病院のメモリアル・ガン研究所の精神療法医であり、仏教徒である。
裏表紙より
瞑想療法、緩和ケア、精神療法、ストレス・マネージメントおよびリラクゼーション、遺族に対するグリーフ・ケアを専門とする。
ヒンズー教やチベット仏教の著名な指導者たちとともにインド、中国、チベットを広く旅して修行をつんだ。
<内容紹介>
くよくよ考え、悩みやすい人は、将来のことを心配したり、過去の行いを何度も思い出したり後悔したりすることをなかなかやめられない。それを放っておくと、うつ病や不安障害などの精神的な問題に発展してしまうことも多い。本書には、効果が実証済みの心理学的な治療法をもとにした、マインドフルネス瞑想の練習法が紹介されている。あなたも、自分にはどうしようもない過去や未来の問題について悩むのをやめて、今を満足して生きられるようになるのである。
裏表紙より
「ブッダの瞑想術で~」という題名から仏教色の強い本なのかと思いがちだが、仏教要素は強くない。著者も「たまたま仏教になじみがあっただけ」と本書で述べている。
<目次>
序章
第1章 あれこれ考えることと感情ー考えることが抑うつや不安、怒りを生み出す
・「いろいろ考える」とはどういうことか?
・わたしたちは何についてあれこれ考えるのか?
・くよくよ考えがちな人
・心の舵をとる
第2章 マインドフルな生き方
・マインドフルネスの起源
・マインドフルネス=「心を空にすること」ではない
・マインドフルネス瞑想の方法
・マインドフルネス瞑想の効果
第3章 悩みの迷路
・四諦(四つの真理)
・思考の迷路を作り上げる
・思考の迷路を抜け出す
・目標と幸福
第4章 完璧という幻想
・完璧を求める心と無力感
・心を乱すものを利用して瞑想練習を進める
・あなたの心はなぜ今のようになってしまったのか?
第5章 脳を変える
・脳地図
・思考と脳の神経回路
・脳の回路を作る
・脳の神経回路を作り直す
第6章 満足して生きる
・苦悩に耐える力
・苦しみを幸福へ
・マインドフルネスの始まり
第7章 幸福になるための日課
・幸福になるためのトレーニング
第8章 人生の意味
・経典の教え
・自分で選択し続けることが目標達成につながる
第9章 回復力
・人生の目標は変化する
・回復への舞台を整える
・許すことの難しさ
・慈悲の心への道
第10章 まとめ
・マインドフルな生き方は新たな出発
・マインドフルネスについての懸念
・マインドフルネスの練習がもたらすもの
・実践しよう
●この本に書いてあること
・マインドフルネスについてとその効果
・マインドフルネス瞑想の方法
・幸福に生きるコツ
●この本を読むのにオススメな人
・マインドフルネスに興味がある人
・瞑想の方法を知りたい人
・悩んでばかりで苦しんでいる人
・うつ状態にある人
・幸福に生きるコツを知りたい人
この本の前提→「困難や難しい問題についてあれこれ考えても、解決することはできない」
→逆に否定的な考えから抜け出せなくなり、貴重な”今”という時間を浪費する
だからといって”何かを考えないようにすること”=”思考の抑圧”は、心理学研究により効果的ではないことが明らかになっている。
「紫色のバナナのことは考えないで!」と言われると逆に紫色のバナナのことばかり頭に浮かんでしまうのと同じ現象。
効果がある方法は、「わき上がる考えをそのままにしながら、それへの対処の仕方を変える」方法。
→呼吸に意識を集中し、さまざまな思考がわき上がるのをただ見守り、思考をそれ以上にあおり立てない方法。
これを「マインドフルネス」と呼ぶ。
このマインドフルネスは、くよくよ考える癖、否定的な心の癖、「うつ状態」に効果がある。
ブッダは初め、家族と家を捨て禁欲的な生活を送りつつ、苦行を行っていた。
→結果は、身体が衰え、さらなる迷いや抑うつ、不安が生まれただけ。
→最後に試したのが「心静かに自分の呼吸に意識を集中する」というマインドフルネスであり、これにより悟りの境地に達することができた。
マインドフルネスは、心を無にすることでも、すっきりさせることでもない。
→そもそも心は空にはならないものであり、そんなことは人間には無理な話
マインドフルネスというのはあくまでも、「呼吸に意識を集中し、さまざまな思考がわき上がるのをただ見守り、思考をそれ以上にあおり立てない」こと。
マインドフルネスにぴったりの場所や、そろえるべき道具、適切な時間はなく全て自由。
姿勢もなんでも良く、歩きながらでも、食事をしながらでもできる。
瞑想は毎日欠かさず1回に少なくとも15分を2回行うこと。
ブッダが悟りにより説いた四諦(4つの真理)これは仏教徒に限らずあらゆる人に通じる教えである。
・人生に苦はつきものである
・思い通りにならない不安定な世の中にあって、思いを通すことや安定を求めるがゆえに苦しみがうまれる
・苦しみから逃れる道はある
・八正道(八種類の徳)を行くことが解脱への道である
「人生に苦はつきもの」なら幸せになるのは諦めろということなのか?
著者の考えは違う、著者は「幸福は与えられるものではなく自分で探すものであり、探すために積極的に行動するべきだ」という意味に受け止めた。
苦しみに代わるものとして幸福を見つけるのではなく、苦しみの最中に幸福を見つけること・・・これがマインドフルネスの考え方。
心配し、くよくよしても問題が解決されることはほとんどない。
むしろ悩むことが問題を悪化させることを示唆する研究さえある。
考えすぎたことは すべて問題になる
フリードリヒ・ニーチェ(ドイツ哲学者/ 1844~1900)
仏教心理学でよく言われること・・・「視点を変えない限り、思考の迷路を抜け出すことはできない」
→迷路を抜け出すもっとも簡単な方法は、上から見下ろす視点を持つこと
→これはマインドフルネス瞑想によって培われる力である
マインドフルネス瞑想を始めると、心の声の存在に気づくようになる。
→この心の声は正しいことを言っているわけではない
人は誰でも偏った心の声によって自分自身や他人、世の中のことを判断している。
→つまり、人にはそれぞれの「現実」がある。
7つの習慣の「パラダイム」と同じ概念
世の中に関する部分的な情報を手に入れ、足りない部分を補ってつきあわせることによって世の中はこんなもんだという、まとまったひとつの考え方を作り出しているに過ぎない。
マインドフルネス瞑想によって、自分の心の声が人生のどの部分に注目し、その結果自分がどういう気分でいるかに気づくことができる。
→この気づきによって、よりよい見方に修正することができる。
絶対的受容・・・不完全さを含むすべてを無条件に受け入れ”今”行動すること
苦しみや不幸、苦難は向こうから勝手にやってくるのだから、自分からわざわざそのことに注目し、くよくよする必要はない。
探すべきは自分からはやってきてくれない幸福のほう。
人生は有限であり、だからこそ人生を出来る限り楽しむ選択をしていくべきである。
幸福になるための4つの柱
・マインドフルネス瞑想の習慣
・定期的な運動
・健康的な食生活
・十分な睡眠