大人にこそ遊んで欲しいゲームキューブの名作「ギフトピア」

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わらびです。

今回は2003年に任天堂ゲームキューブから発売された「ギフトピア」というゲームを紹介します。

「ギフトピア」はメッセージ性の強いゲームなので、「ゲームなんてくだらない」という人にも出来れば読んで欲しいです。

個性が豊かすぎる登場人物たち

「ギフトピア」がどんなゲームなのかを理解するには、あらすじを紹介するよりも登場人物を紹介する方が分かりやすいでしょう。

以下「ギフトピア」に登場する主な人物達↓

・なんでも規則、そして何よりもマネ(お金)が好きなワンマン村長

・非科学的なものを馬鹿にし、何よりも科学を重んじる発明家

・女優を目指すブリブリお姉さん

・水晶ではなく鼻ちょうちんで未来を占うお婆ちゃん

・神や精霊を信じ、日々瞑想と祈りに励む爺さん

・いつか白馬に乗った王子様が現れると信じて止まないバー経営者(男性)←そして王子様は現れる

・夫と別れ一人で息子を育てるヤンキーママ

・彼女を励まそうと温泉に連れ出したいもののそれが出来ないDJのアシスタントロボ

・若い女性のパンツを頭に被る神様←そして牢屋に入れられる

以上が「ギフトピア」に登場する主なキャラクター達です。

どうでしょう・・・。

異様ですよね。

一人一人の個性が豊かすぎて、最初はキャラクター達の勢いに負けそうになりますが、やっていると慣れてきます。(←慣れていいのか?)

ゲームの最終目的は”大人”になること

個性が豊かすぎるキャラクター達の間で、いったい何を目指すのかというと、それは”大人”になることです。

ゲームの主人公ポックルは島の儀式である「大人式」を寝坊してしまいます。

怒った村長はポックルに「再大人式を行うために500万マネ積み立てしなさい。それが島の規則であり、唯一大人になれる方法だ」と命じます。

果たして、本当に500万マネを貯めれば”大人”になれるのか・・・。

これがゲームのあらすじになります。

ここまで読んで「何それ面白そう!」と興味が湧いた人は、読むのはここまでにして是非すぐにでも遊んでみてください。

その方が楽しめると思います。

ここから先は、ゲームをする予定が当分ない人、ネタバレしても大丈夫な人だけ読んでくださいね。

お金では得られない経験が人を大人にする

「ギフトピア」の目的は「大人になること」ですが、結論から言うと「大人になる方法」=エンディングは3種類あります。

一つ目は、500万マネ積み立てエンド
二つ目は、テンジン(=神様)売却エンド
三つ目は、全ての願いを叶えるエンド

です。

大体、想像がつくかと思いますがグッドエンディングになるのは三つ目の「全ての願いを叶えるエンド」だけです。

「大人になるためには大人式に出席しなければならない。そして再大人式をするためには500万マネが必要だ」と村長は主人公ポックルに命じますが、本当にそうなのでしょうか?

「大人になる」のにどうして大金が必要なのか?

そんな疑問に、島で唯一神を信じ、祈りと瞑想を欠かさない男ジギーが、「大人になるためにマネなんか必要ない」とズバリ答えます。

何を隠そう、ジギーは大人式に出席せず「大人になった」人だったのです。

そんなジギーを忌み嫌う村長メイヤー。

このゲームは簡単に言うと、なんでもマネで解決しようとする村長メイヤー側につくか、マネに頼らず自力で大人になることを勧めるジギー側のどちらにつくかになります。

そして、もし村長側についたらバッドエンドとなるわけです。

わたしは最初から村長に不信感しか持たなかったので、ストーリーを進めるのにどうしても必要な1万マネだけ払い、あとは1マネも村長には払いませんでした。

「自分の力」で大人になりなさい

ではマネを払わずにどうやって大人になるのかというと、人のお願いごとを叶えていくのです。

主人公ポックルの住むナナシ島には、村民から忘れ去られた古い神社、テンジンジャがあります。

そこのお賽銭箱にお供えすると、からのネガイ玉(現実の勾玉のようなもの)を手に入れることができます。

この「からのネガイ玉」を悩んでいる人の前に差し出すと、その人の願いを聞き取ることができ、「からのネガイ玉」が「ネガイ玉」に変化します。

願いを無事に叶えると「ネガイ玉」が「カナエ玉」に変わり、この「カナエ玉」をテンジンジャに奉納することで、ポックルが成長していくのです。

一定数「カナエ玉」を奉納するとポックルを見守る精霊の声が聞こえます。

その精霊は「自分の力で大人になりなさい」とポックルに告げます。

「自分の力」とは、「マネに頼らない」ということです。

マネに頼るのは、自分の力ではなく「マネの力」。

現実でも「お金の力で解決する」と言ったりしますよね。

実際にお金の力で解決出来ることは、たくさんあります。

そして、それはギフトピアの「再大人式」も同じです。

500万マネを払えば、一瞬で「大人になる」ことができる。

けれど、何の経験もせずに自分の力ではなく、お金の力で「大人になった」人は本当に「大人」なのでしょうか。

この疑問に「ギフトピア」は迫っているのです。

都合の良すぎる人間

島の住民の願いを叶え、ポックルがある程度成長すると島の神様であるテンジン様が誕生します。

ポックルの成長と共に、このテンジン様も成長し、最終的には巨人のように大きくなります。(←巨人のドシンに似ているような・・・)

島の伝説に詳しいジギーによると、このテンジン様は島を災いから守るために存在するそうです。

これまでテンジンジャに見向きもせず、神様をないがしろにしていた島の住民たちは、ここぞとばかりに勝手な願い事をし始めるようになります。

そんな住民達に「愚か者共め!」と喝をいれるジギー。

これも現実に置き換えて考えると、このゲームと同じではないでしょうか。

田舎の小さな村では、神様を祭る伝統は守られているところもありますが、都会は違いますよね。

都会で「神様が~」とか言ったら、変な宗教の人と思われ距離を置かれるでしょう。

信仰がないんですよね。

でも、パワースポットには言って祈ったりする。

御利益を求めて神社にお参りに行ったりする。

お参りしたあとは、神様のことは忘れる。

なんて自分勝手なのでしょう。

ギフトピアの住民達を見ていると、そんなことまで考えさせられます。

神様と引き換えに利益を得る大人たち

そしてある日、島の外から世界で5番目の大マネ持ち、チャンがやってきます。

SPを二人連れて歩き、いかにもな大金持ちです。

この大金持ちのチャンが「テンジン様を500万マネで売って欲しい」とポックルに話を持ち掛けます。

500万マネはちょうど再大人式に必要な金額。

しかし、島の神様を売り払うとはどうなのでしょうか。

お金と引き換えに神様を売却するという展開に驚きますが、現実では当たり前ですよね。

自然を壊し、人工物を建設する。

その方が、利益を得ることができるから。

地球という土地が神様から与えられたものだとしたら、お金のために自然を破壊することは、お金と引き換えに神様を売却しているのと同じとは言えないでしょうか。

チャンの提案にのり、テンジン様を売ってしまったらバッドエンドなので、チャンの提案を拒否します。

チャンや村長メイヤー、ポックルのやり取りを見ていた、ポックルのガールフレンドキャッピーは「マネだの契約だの大人ってなんか嫌だね。ポックルは大人になってもそんな風にはならないでね」と一言。

この何気ないキャッピーの一言も実に的を突いていると思います。

現実でも、いわゆる「大人」は何かを考える時、常に「お金」を基準にしています。

物事の価値をお金で測ろうとしているのです。

「これは高いから美味しい良いもののはずだ」「これは安いからくだらないものだ」というように、自分の頭で考えて物事の価値を判断していないのです。

けれども、子どもは自分の価値感で物事を判断しています。

遊んでいる子どもに「どうしてそうやって遊んでいるの?」と聞いてみると「楽しいから」と答えます。

けっして「このおもちゃは高いから」とか、そういう風には答えません。

そういう意味で、大人の発言というのはキャッピーが言うように嫌であり、むしろ退屈なのです。

子どもの発言の方が、はっとさせられることが多い。

それは何故かと言うと、子どもは、お金ではなく自分の価値感で行動を決めているからなのです。

大人の顔

話はゲームに戻して、無事テンジン様をビジネスの罠から守ると、島に小さな遊園地としてテンジンランドがオープンします。

このテンジンランドがけっこう地味で、住民達の反応は様々・・・。

そこに島の一大発明家エジンソが「テンジンなど古い!」と科学の力を総集結して作ったロボット、メカテンジンを公表。

メカテンジンの圧倒的な迫力に住民達の興味は一気にテンジンランドからメカテンジンに移ります。

そんなメカテンジンを見てジギーは「生命の宿らぬものが 人を幸せにするはずはないんじゃよ」と一言。

そして、「マネだの、規則だの、テンジンランドだの、メカテンジンだのと生命の宿らないものばかりでアホくさい。どうせ生命の宿らないもの同士。それならメカテンジンがテンジンランドを破壊してくれれば清々する」と叫ぶ。

ジギーの叫びを、誤って命令として受信してしまったガレリオ(エジンソのロボット助手)は、メカテンジンに「テンジンランドを破壊せよ」と命じてしまいます。

テンジンランドを破壊し始めるメカテンジンを見て、住民達は「やめて!」「壊さないで!」と願い叫びます。

住民達の願いに反応して目覚めるテンジン様。

不思議なエネルギーでメカテンジンの破壊行動を止めさせようとしますが、メカテンジンは機械なので効果がありません。

テンジン様を任務を邪魔する敵と判断したメカテンジンは、テンジンランド破壊から、テンジン様破壊に切り替えます。

攻撃し返すという考えがないテンジン様はメカテンジンに一方的に殴られ続けます。(このシーンはゲームで、なんのリアルさもないポップな画ですが、とても心が痛みました)

メカテンジンを止めるには「攻撃をやめろ」と命令し直せばいいのですが、唯一命令可能なガレリオのCPUが壊れてしまい、再命令することができません。

そこに、「ワタシノ CPUヲ ツカッテクダサイ」と申し出る警察ロボのマッポ。

自分のCPUを差し出すことは、ロボットの死を意味する。

「それでもいいのか?」とマッポに尋ねると「ヒトノタメニ イノチヲササゲルノガ ケイカンダトキキマシタ」と答え、エジンソにCPUを取り出してもらい、マッポはガラクタのように崩れた。

「ウマレテクルナラ イヌガヨカッタ イヌニナッテ タオ(ポックルが飼っている犬)ト アソビタカッタ」と言い残したマッポの亡骸にタオが悲しそうに寄り添います。

マッポは警察ロボとして、村長メイヤーの手下のように働いていましたが、最後の最後でまさかこんな行動を申し出るとは思っていなかったので、本当にショックでした。

マッポの死は悲しいですが、テンジン様も救わねばなりません。

マッポから取り出したCPUをガレリオの壊れたCPUと交換して、再起動を試みます。

無事再起動に成功したガレリオ。

メカテンジンに「攻撃を中止せよ」と命令を送ります。

命令を受けメカテンジンはテンジン様への攻撃を中止しましたが、時すでに遅し。

長時間殴られ続けたテンジン様は一旦立ち上がるものの、グネっと倒れそのまま死んでしまいました。

「テンジン様が死んで どうやってこの島は守られるのじゃ」と悲しむジギー。

そうこうしていると、今度は島の火山が噴火して溶岩が迫ってきます!

このままでは島の中心部であるタウンが焼けてしまう。

そこでエジンソがメカテンジンを使って溶岩の流れを食い止めると言います。

命令を受けて、溶岩に立ち向かい食い止めようとするメカテンジン。

成功しそうに見えましたが、溶岩の熱に耐えられずメカテンジンは溶解してしまいました。

成す術のない住民達。

溶岩が死んだテンジン様の方へ向かっていきます。

すると、テンジン様の亡骸のおかげで溶岩の流れを変えることができ、タウンは無事救われました。

島に伝えられていた伝説通り、テンジン様は島を災いから救ったのです。

島は救われましたが、それはテンジン様との別れを意味することでもありました。

「残念だね」とキャッピーに話しかけられ、ポックルは「でも島を救ってくれたから・・・ このことを大人になっても忘れないように・・・」と答えます。

その言葉を聞いてキャッピーは「もしかしてポックル大人になってる?」とポックルの顔を覗き込みます。

他の住民達も一斉にポックルに注目。

「大人の顔なのだ」と村長。

「がっはっはっは!大人の顔になっとるわい」と大声で笑い喜ぶジギー。

ポックルの満面の笑顔でエンドロールになります。

本当の「大人」とは

このようにグッドエンドは、再大人式によってではなく「大人の顔になっている」ことでポックルは「大人」になるのです。

「大人の顔になっている」とはどういうことでしょうか。

それは恐らく、様々な人とのやり取りを通じて、お金では得られない経験をたくさんした人間の顔なのだと思います。

住民達の願いをたくさん叶えてきたポックルは、精神的にとても成長したでしょう。

いろいろなことを思い、考え、行動してきたのです。

それはつまり、深みのある人間になったということです。

そんな精神的に成長したポックルの溶岩に包まれたテンジン様を見ていた表情は、恐らく複雑な表情であり、大人な表情だったのでしょう。

わたしたちは、成人式に出席するから大人になるのではありません。

20歳になるから大人になるわけでもありません。

お金で得られない経験を何も積んでいない人は、「お金の力」で大人になった人であり、「自分の力」で大人になったわけではないのです。

お金で解決出来ることも、お金に頼らず、自分の頭で考えて解決する。

ポックルも500万マネで大人になることはできましたが、それは選びませんでした。

お金で解決することは簡単。

何故なら、悲しいことですがこの社会の仕組みがお金で成り立つように人間によって意図的に作られているからです。

けれど、お金で簡単に解決しても人間的には成長できません。

そんな人間的に、魂の成長をしていない人が、成人式に出ようが、20歳になろうが、それは本当の意味で「大人」とは言えないのです。

逆に、お金に頼らず自分の頭で考え行動し、お金で得られない経験をたくさん積んだ人は、年齢に関係なく「大人」なのです。

精霊の言う通り「自分の力」で大人になったポックル。

わたしたちも、ポックルのように「自分の力」で大人になりたいものです。

ギフトピアの名言一覧

ギフトピアにはゴシンボク(島の御神木)がありますが、ある条件を満たしていればゴシンボクと会話することができます。

その内容がとても面白いので紹介します。

・問題に直面した時 原因を他者のせいにしてはいけない 全ての責任は自分にあると心得なさい

・イメージできるものは全て現実化するだろう

・究極の自己満足とは他者満足だ

・永遠を求めないで 瞬間を全うしなさい

・人類は最終的に肉体を捨て 意識体となるだろう

・自分を愛せぬものに 人を愛する資格はありません

・自分の境界線など存在しない

・大成功と大失敗は表裏一体です

・人類最大の資源は想像力だ

・過去に囚われないで 未来に惑わされないで 全ては今この瞬間にあるのだから

・全てはバランスだ そこには深さとしてのリズムが存在する

・いわゆる超能力が存在しているのではない 科学が未完なだけなのだ

・過去に体験した現実と過去に見た夢に違いはない

・音を見なさい そして色を聞きなさい

・言語は波動の定着だ

・死を恐れることほど無駄なことはない 恐れることなく生きている今この瞬間を生き抜くのです

・寝て起きて食べる 全ての基本はここにある

・病気になるから病人になるのではない 病人になるから病気になるのだ

・肉体の衰えを恐れないで 恐れるべきは精神の衰えなのです

・人類最大の浪費は戦争だ

・恋ははかなきもの 愛は深きもの

・全存在を全肯定しなさい

・マネでは得られないもの・・・ そんな経験を これからたくさんして欲しいと 願っています

まとめ

以上、任天堂ゲームキューブから発売されたゲーム「ギフトピア」の紹介でした。

実際には、今回紹介した内容以外にもたくさん面白いエピソードがあります。

例えば、「よぼよぼのお婆ちゃんにヤンキーママがアッパーカットを食らわせる」とか・・・。(←衝撃的ですがとても深い意味があるエピソードです)

グッドエンドで観られるエンドロールでは、その後のマッポがどうなったかも知れますし・・・。

とにかく素晴らしい作品なので、たくさんの人に遊んでみて欲しいです!

最期までお読みいただきありがとうございました(^〇^)

「ギフトピア公式サイト」