「言葉とエッセイ」とは、わたしが読書の中で出会った言葉を紹介し、それについてわたしの考えや思いをつづるシリーズです。
↓今回のピックアップ文↓
もう一つ言うと、人工的に改良されてきた野菜よりも、野生の草、山菜というものの方が現在作られている野菜より価値があると言えます。~自然の山野にあるものは、コクのある味ができる。そして、野生に近い改良されていないものは、本質的に、そういうあらゆる味っていうものをかねている。本当の草になってくると、それが、人間の体にもいいことになってくる。結局、本当の味っていうものは、人間の体にいいものということになる。食物と薬というのは二物でなく、表裏一体のものです。現在の野菜は、食物であっても薬にはならないが、改良されなかった昔のものは、食用にも薬にもなるというのが本来だったのです。
福岡正信『わら一本の革命』より
自然農法で野菜を作れば、自然の野菜が作れる。
これは半分本当であり、半分は間違っている。
何故かというと、そもそも今スーパーなどで見かけるほとんどの野菜は、昔から自然に存在してきた野菜ではなく、人間の都合の良いように品種改良されてきた、いわば人工野菜なのだ。
品種改良というと、多くの人は可食部を大きくしたり、栄養素を増やしたり・・・というものを想像すると思うけれど、それだけでなく、長持ちするようにという改良もある。
昔から存在してきた野菜は在来種と言って、これらの野菜が市場に出回ることはほとんどない。
何故かというと、在来種は収穫してから傷むまでのスピードが早く、店頭に並べられる頃には既に商品として成り立たないからである。
「品種改良されていない」とはそういうことなのである。
だから、在来種ではない、よくホームセンターで売ってある「病気に強い!」とか「暑さに強い!(←これはもはや謎)」などと謳ってある、F1種を自然農で育てても、それは、そもそも自然の野菜ではないから、ちょっとおかしなことなのだ。
野菜にはこんなちょっと複雑な面があるけれど、山菜は野菜と違って自然なものである。
だからやっぱり、味が野菜より断トツ複雑で、なんとも言えないクセを持っていて、美味しい。
そして美味しいだけでなく、薬にもなったりするなんて、やっぱり自然はすごいとしか言いようがないと思う。
けれど最近、同じくホームセンターで「アクがないわらび」とか「こごみ」の種を見つけた。
いろいろツッコミどころ満載で、これはもはや山菜ではないだろう。
ロールイカに出会ったばかりの頃のように、恐怖心から自然と距離を置いてしまう私・・・・・・。
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