読書メモ3『BORN TO RUN 走るために生まれた』

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【読書メモとは】
私は本を読むときは、心に留めておきたい一節を見つけたら半透明の付箋を貼るようにしています。それだけで終わる場合もありますが、より詳しく記憶しておきたいという場合には読書メモを取ります。この記事は、そんな私の読書メモを書き起こしたものです。

<著者クリストファー・マクドゥーガルについて>

AP通信の従軍記者を経て、現在はMen’s Healthのライター兼編集者を務める。全米雑誌賞のファイナリストに3回選ばれている。主な寄稿先に、Runners World, Esquire, The New York Times Magazine, Outside, Men’s Journal, New Yorkなど。自身、ウルトラマラソン・ランナーであり、ふだんは地元ペンシルバニア郊外にあるアーミッシュの農場のまわりを走っている。

裏表紙より

<内容紹介>

この冒険は、たったひとつの疑問からはじまった。「どうして私の足は走ると痛むのか?」その答えを探すなかでクリストファー・マクドゥーガルは世界でもっとも偉大な長距離ランナー、タラウマラ族に行きつく。その過程でわかったこと―わたしたちがランニングについて知っていることはどれもすべてまちがいだ―メキシコの秘境を彷徨う謎の白馬、現代社会と隔絶して暮らす“走る民族”、素足で峡谷を走り抜けるベアフット・ランナー、数時間走り続けて獲物を狩る現代のランニングマン、過酷な地形を24時間走り続けるウルトラランナーたち、そして、世界が見逃した史上最高のウルトラレース…全米20万人の走りを変えた、ニューヨークタイムズ・ベストセラー。

裏表紙より

●この本に書いてあること

・タラウマラ族(=ララムリ)とは、どんな民族なのか
・ウルトラマラソンレースについて
・走ることによって起こる身体の故障はシューズのせいであるということ

●この本を読むのにオススメな人

・”ララムリ”という走る民族について詳しく知りたい人
・走りに悩みを抱えている人
・走るモチベーションが欲しい人
・走ることが好きな人
・高いランニングシューズを履いているのに効果がイマイチだと感じている人
・ウルトラマラソンレースに興味がある人


【タラウマラ族?ララムリ?】

タラウマラ族と名付けたのは征服者たち
→本当の名前はララムリ 

メキシコの山岳地帯に村がある。通称「走る民族」


【ララムリのマラソンに対する考え方】

ララムリはマラソンを走る時お祭りのように楽しむ。
年中トウモロコシビールを飲み、レース当日にいたるまで、トレーニングや調節も、ストレッチや準備運動もしない。

ララムリにとって、レースとは遠方の民族同士が親近感や仲間意識といった絆を強め、峡谷に暮らす全員が緊急時を乗り切れるよう関係を維持するための方法。


【ララムリが食べるもの】

ピント豆、カボチャ類、チリペパー、野草、ピノーレ、大量のチア

ララムリの伝統食は、ほぼ動物性の食品を食べていないにも関わらず国連の推奨する一日あたりのたんぱく質摂取量より50%以上も多い

ララムリたちが年中飲んでいるトウモロコシビールは・・・
→実はアルコール度は低く、栄養価が高い
→豊かな食料源といえる


【ララムリに対する作法】

ララムリの洞窟に接近する場合は、そのまえに数十メートル離れた地面に座って待たなければならない。そして、しばらくあらぬ方向を見て、ほかにすることもないからぶらぶらしているといった風を装うこと。
→洞窟から人が出てきて、招き入れてくれたらOKだということ


【ララムリの歴史】

ララムリは以前、外の世界を迎え入れた時に、強制労働など(抵抗すれば殺された)によって虐げられた歴史がある。
→その経験があるため、現在は外の世界を受け入れたがらない。


【ララムリ文化の基盤である”コリマ”】

”あなたが分け与えることができるものは何でも、即座になんの見返りも期待せず分け与える義務がある”というもの。

ララムリには通貨制度がなく、このコリマにしたがって取引が行われている。


【ララムリに唯一外の世界から馴染むことができた男、カバーヨ】

彼が履いている靴はテバ(アメリカのアウトドア用サンダルメーカー)のサンダル
過酷なトレイルマラソンを走っているにもかかわらず、靴ではなくサンダル

こういうもの↓


【ララムリの社会】

ララムリは男女関係において極めて平等主義的な社会を築いている。
勿論、ララムリの女性たちも走る


【ララムリの走りに欠かせないもの―ワラーチ】

ララムリはレッドヴィルで開催されたレースで、宣伝のために履いてもらうようお願いされたトレイルランニングシューズをレース中に脱ぎ捨て、いつもの”ワラーチ”に履き替えた。

そのレッドヴィルのトレイルランニングレースでララムリは優勝した。

しかもコースレコードを25分速いタイムで更新。
テープを胸で切るのではなく、恥ずかしそうにくぐった。

ワラーチとは:ゴムと革紐で作られたサンダルのような履物

こんな感じ↓


【ジョー・ヴィヒル博士の確信】

走るために必要なもの、第一は耐久力 第二は性格。

しかも闘争心ではなく思いやり、やさしさ、愛


【なぜ人は走るのか】

昔から走ることは生きる為に不可欠のものだったから。
食べるために走り、食べられないように走った。

なのに今は・・・

もはや走るのは損得の世界
→大手メーカーとの契約、メダル


【ランナーのテッドが最終的に行き着いた履物とは】

あらゆるランニングシューズを試したのに、身体の調子が悪くて走るのに支障があった。
一度は鋼ばねのサスペンションのついた靴”カングー・ジャンプス”も試したが、これも即ダメ。
そこで裸足で歩き始めたところ、腰がまったく痛くないことに気付く。

ちなみにカングー・ジャンプスはこういうもの・・・↓

この気づきがきっかけでテッドは裸足で走ることについて調べる

アベベ・ビキラ ― 1960年のオリンピックマラソンでローマの石畳を裸足で走って優勝したエチオピアのランナー

チャーリー・ロビンズ医学博士 ― 痛みが生じるのはマラソンのせいではなく、確実にシューズのせいであると唱える

ベアフット・ケン・ボブ(裸足で走ることを推奨しているランナー)の言葉

”ジューズがさえぎるのは痛みであって、衝撃ではない!痛みはわれわれに心地よい走りを教えてくれる!裸足になったそのときから、きみの走り方は変わるはずだ。”

テッドの気づき
足が敏感な理由→それは自己補正装置だから。足をクッションつきのシューズで覆うのは、煙探知機の電源を切るようなものだ

彼が行き着いた履物「ビブラム・ファイブフィンガーズ」
→ヨットレーサー用のデッキシューズとして開発されたもの
→すべりやすい甲板でのグリップを強めつつ、素足の感覚を保つことを目的に作られている

こういうもの↓


【様々なシューズにまつわる衝撃的な研究結果】

クレイグ・リチャーズ博士(オーストラリアのニューカッスル大学の研究者)
論文で、ランニングシューズによってけがをしにくくなることを確かな根拠で示した研究はひとつもないことを明らかに

ベルナルト・マルティ医学博士を中心とした研究結果
→最高級シューズを履くランナーは安価なシューズのランナーに比べてけがをする確率が123%も大きい
→95ドル以上のシューズを履いたランナーは、けがをする確率が40ドル未満のシューズのランナーの2倍だった

他の研究でも同様の報告
→保護機能(高いクッション性、”プロネーション矯正”など)がついた高価なランニングシューズを履く者は、安価な(40ドル未満の)シューズを履くランナーよりもけがをする頻度が著しく大きい

大手ランニングシューズメーカーの所長が明らかにしたこと
→被験者がやわらかいシューズを履いた場合と硬いシューズを履いた場合では、衝撃力にはなんのちがいもないことが判明した
→それだけでなく推進力のピーク値はやわらかいシューズの方が高かった
→クッション材が多いほど、足が保護されないことを意味する報告だった

そもそもクッション材は衝撃を緩和する役には立たない
→ランニングによる脚への衝撃は体重の12倍、それだけの衝撃を半インチのゴムが緩和できるわけがない

ここでもう一度素足のランナーベアフット・ケン・ボブの言葉を思い出そう
”ジューズがさえぎるのは痛みであって、衝撃ではない!”


【プロネーションは本当に悪なのか】

プロネーションとは:足の自然な動き。裸足で走ると無意識に足が自己防衛モードに走り、自動的に足を内転させることでショックを吸収する。

1970年代に「過度のプロネーションがランナー膝の原因ではないか」と考えられた
→この結果あらゆるシューズメーカーはこのプロネーションを一掃するウェッジソールの超工学を駆使したシューズを作り始めた
→オーバープロネーションは踵で着地するから生じる。
け・れ・ど!
そもそもクッションがなければ、踵で着地することはないから関係ないのであった


【クッション材の役割を果たしているのは?】

土踏まず
土踏まずのアーチが衝撃を吸収している。

ハートマン博士の言葉「脚にギプスをはめれば、6週間で筋肉組織の40%~60%は委縮する。足をシューズで覆ったときも、同様のことが起こる」

ブランド博士の指摘「ウオの目、腱膜瘤、槌状足指症、扁平足のほとんどは、国民の大半が裸足の国ではほぼ存在しない」


【武器を使わず獲物を捕まえる”持久狩猟”】

私たちの祖先は走ることで食料となる獲物を捕まえていたと言われている。

持久狩猟を考える上で知っておきたい前提↓

〇人間以外のすべての走る哺乳類
→一歩進み、一度呼吸する。疾走しながら人間のように激しくあえぐことはできない。
→呼吸によって体温を下げる。つまり、体温調節システム全体が肺に託されている。

〇人間
→一歩進み、一度呼吸するというサイクルにはまりこむことはない。比率は様々。だからこそ疾走しながらあえぐことができる。
→身体の熱の大部分を発汗によって発散する

チーターの体温を測りながらトレッドミルを走らせたところ、体温が40.5度に達するとチーターは足を止め、それ以上走ろうとしなかった。
→呼吸での体温調整が追い付かなくなったということ

対して人間は、汗をかきつづけるかぎり走ることができる

つまり、これから分かることは、獲物を倒れるまで走らせることができれば、道具を使わずとも捕獲することができるということ
→これが持久狩猟

しかし問題なのは、特定の一頭だけを走らせ続けること
→適当に鹿を追いかけても、群れの中に逃げ込まれ、今まで走らせていた鹿がどの鹿なのか分からなくなる
→そうすると持久狩猟は成り立たない

●今もなお持久狩猟の技術をもっている男たちの実演
特定の動物を追うには、糞や足跡から分析するだけでなく、動物の行動を予測し頭の中で視覚化する技術が必要
→群れに紛れようとすればそれを防ぎ、木立で休もうとすれば日向へ追い出す
→そうして武器を使うことなく、狩猟を成功させた
→持久狩猟が成り立つことが明らかになった


【身体は使わないと退化する】

無重力空間で過ごした宇宙飛行士たちは、地球に帰還したとき数日間で何十歳分も老化していた。
→筋肉は委縮し、鬱、不眠、急性疲労、倦怠感に悩まされた。
→慢性的な運動不足である現代人たちは、この宇宙飛行士たちと同じようになってしまっている

ブランブル博士の言葉「走るだけで病気の蔓延を直ちに止めることができる。」

アフリカで毎朝、一頭のガゼルが目を覚ます。そのガゼルはいちばん速いライオンに走り勝たなければ、殺されることを知っている。アフリカで毎朝、一頭のライオンが目を覚ます。そのライオはいちばん遅いガゼルよりも速く走らなければ、飢え死にすることを知っている。ライオンであるかガゼルであるかは関係ない ― 日が昇ったら、走った方が身のためだ

ロジャー・バニスター(イギリスの陸上競技選手、1マイル4分の壁を初めて破った男 /1929~2018)
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