私たちは人生を度々複雑に考えがちです。映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』はそんな私たちに人生をもっとシンプルに生きてみることの大切さに気付かせてくれます。
今回は 『フォレスト・ガンプ/一期一会』 の名言から人生をシンプルに捉える方法を考えていきたいと思います。
フォレスト・ガンプのあらすじ
フォレスト・ガンプの内容を知らない・忘れた人の為に簡単なあらすじだけ紹介しておきます。
アラバマ州グリーンボウに生まれたフォレストガンプは知能が低いことで周りから馬鹿にされて育ちます。
加えてフォレストは背骨が歪んでいるため足に矯正ギブスをはめなければなりませんでした。
知能が低いことと変な歩き方だったせいで、学校でいじめの標的にされるフォレストでしたが、彼には唯一の理解者がいました。
友達のジェニーです。
フォレストはジェニーに恋心を抱きつつも、軍隊に入隊したり、ジェニーは歌手を目指すなど、二人は別の人生を歩み始めます。
この映画はバス停のベンチに座るフォレストが、バスを待つ人々に話しかけながら彼の目まぐるしい生涯を回想するという内容です。
ここから先、ネタバレを含みます。
フォレストガンプ名言集
「人生はチョコレートの箱みたいなもの。開けてみるまで中身は分からない」(フォレストの母)
知能は低いものの何事もシンプルに捉え”今”を生きるフォレストと、自分の理想を追い続けるジェニー。
意外にも人生の成功を手にしたのはフォレストの方でした。
まさにこの言葉通りで、人生は最後まで分かりませんね。
言ったことを思い出してみて、フォレスト。他の誰とも変わらないのよ。(フォレスト母)
知能が平均より低く、足に矯正ギブスをはめて歩いていたフォレスト。
それは一見するとハンディキャップとも考えられますが、母はそんなフォレストを「みんなと同じ」と教えます。
母の強さと優しさが伺える言葉です。
走って、フォレスト走って!(ジェニー)
学校のクラスメイトからいじめを受けていたフォレストは、帰宅途中に度々クラスメイト達に追い掛け回されていました。
しかしフォレストは矯正ギブスをはめていたせいで思うように走ることができません。
このままではいじめっ子達に追いつかれる・・・そんな時にジェニーがフォレストに向かって叫んだ言葉です。
大好きな子の叫びにフォレストは無我夢中で走り出します。
すると矯正ギブスが壊れ外れていきます。
そしていつのまにかフォレストは普通に走っていたのです。
ここの映像はスローモーションでとても感動的なシーンでした。
どうなる?僕は僕じゃなくなるの?(フォレスト)
将来カントリー歌手になりたかったジェニーはフォレストに「夢はある?どうなりたいの?」と尋ねます。
その時の返答です。
ジェニーは未来に生きていたけれど、フォレストは今を生きていたことが分かるやり取りです。
何かあったら勇気など見せずに走って(ジェニー)
軍隊に入隊したフォレストはベトナムに行くことになります。
これはその時ジェニーがフォレストに言った言葉です。
この言葉が後にフォレストを救い、フォレストの仲間も救うことになります。
さっきも言ったように、エビは海の果物なのさ(ババ)
フォレストが軍隊に入隊して仲良くなった親友のババの言葉。
ババ家は代々海老料理人でした。
海老料理に精通した(しすぎた)ババは海老の調理方法について語ります。
以下全文
焼いたり、ゆでたり、煮たり、炒めたり、あぶってもいいね。
串焼き、スープ、エビフライ、唐揚げ、衣揚げ。
パイナップルとエビ、レモンとエビ、ココナッツとエビ、コショウとエビ、エビスープ、エビシチュー、エビサラダ、エビとポテト、エビ・バーガー、エビ・サンドウィッチ。こんなところかな。
こいつをバカ呼ばわりするな!(ダン中尉)
戦争により両足を失ったダン中尉は、人生に失望しフォレストに命を救われたことを恨んでいた。
自堕落な生活を送っていたダン中尉だが、女性たちがフォレストを馬鹿呼ばわりしたときに言った言葉。
ダン中尉は言葉は悪いが、フォレストを馬鹿者扱いしたことは一度もなかった。
バカをするやつがバカです(フォレスト)
亡きババとの「二人で海老漁をしよう」という約束を果たすため、有り金を叩いて船など設備を整えるフォレスト。
こんな場所で海老が採れるわけがないと思う人達はフォレストに「あんたバカ?」と尋ねる。
その時にフォレストが言った言葉。
このセリフは他の場面でも出てきます。
たとえ周りからみればバカみたいに見えることでも、本人に意味があるならそれはバカとは言わない。
そんなフォレストの考えが詰まった言葉です。(元は母親の言葉)
神様と和解したんだと思う(フォレスト)
海老漁をするフォレストとダン中尉だが、何度漁を行っても海老は釣れない。
そんなある日、フォレスト達の船ジェニー号は大嵐に巻き込まれる。
全漁船が壊滅する中、唯一無事だったジェニー号。
この日を境に、何故か海老が大量に釣れるようになる。
こうして二人は大儲けする。
ある日ダン中尉が「命を救ってくれた礼を言うよ」とフォレストに告げる。
それは車いす生活になり自暴自棄になっていたダン中尉が生きる意味を再度発見した瞬間でもありました。
その時を回想したフォレストの言葉です。
ちなみに嵐の夜のダン中尉はものすごい迫力がありました(笑)
嵐のなかマストに登ってたり奇声をあげたり面白すぎです。
ママは言ってた。ほんとうに必要なお金なんて少しでいい。残りは、見栄を張るためだけって(フォレスト)
この母親の言葉を信じフォレストは大金持ちになっても、教会に寄付したり、病院を作ったり、ババの母親にお金をあげたり、世の為人の為にお金を使う。
フォレストはお金をシンプルに使い、見栄を張るためには使わなかった。
僕は利口じゃないけど愛が何かは知ってるよ(フォレスト)
大金持ちになったフォレストは恋心を寄せていたジェニーについにプロポーズをする。
しかしジェニーの返事はつれない。その時にフォレストが言った言葉。
これ以外にもフォレストは、ジェニーがボーイフレンド?から暴力を振るわれ「そんなに悪い人じゃないんだけど」と彼氏を庇った時に、「ぼくは愛する人を殴ったりはしない」と反発した。
フォレストは本当の意味で紳士だった。
前に進む時には、過去は後ろに置いていきなさい(フォレスト母)
ジェニーに振られたフォレストは、この言葉を胸に突然走り出す。
アメリカを何度も縦断し3年の時が過ぎていた。
とても疲れた。帰ろうと思う(フォレスト)
3年以上走り続けているフォレストの存在は全米に知れ渡った。
フォレストのことを知った人々は、その行為に感動し、何か意味があると信じていた。
中には自分もその意味を知りたいと思い、一緒に走り出す人までいた。
ずっと走り続けていたフォレストが突然立ち止まる。
人々はフォレストの言葉に耳を澄ます、
その時にフォレストが発した言葉。
フォレストは特に走る理由がなかったのだ。
ただなんとなく走りたかったから走っていただけなのだ。
何にでも意味を見出そうとする多くの人達と、自分の心が赴くままに行動するフォレスト。
どちらがシンプルなのかは考えるまでもない。
神があなたに与えたものでベストを尽くさなければいけないの。(フォレスト母)
この後に、
「死は人生の一部なんだから。
誰でも持ってる運命よ。
あなたのママになるというのが私の運命だった」
と続く。
フォレストの母は平均より知能の低いフォレストを生んでも、それを嘆いたり、言い訳をすることはなかった。
彼女の言葉通り、ベストを尽くしたのだ。
人は自分の力量以上のことはできない。今の自分を最大限まで活かすしかない。
僕らには運命があるのか、風に乗ってたださまよっているのか・・・(フォレスト)
ジェニーが病で亡くなった後に、彼女の墓の前で呟いたフォレストの言葉。
以下全文
「僕には分からない。正しいのはママなのか、ダン中尉なのか。僕らには運命があるのか、風に乗ってたださまよっているのか。 たぶん、その両方だろう。両方が同時に起こってる。 …君が恋しいよ。」
フォレストの生き方は究極にシンプル
映画を通して言えることがフォレストの生き方は究極にシンプルであるということです。
お母さんの言うことを疑いもせず信じ、大好きな子が「走って!」と叫んだら走って、軍隊が向いていると言われれば軍隊に入隊し、命令にただ従っていただけなのにフォレストはみるみる昇格していきます。
でもフォレストが昇格することは当たり前だったかもしれません。
軍隊では命令に忠実に従うことが最も求められていることだからです。
戦場ではジェニーの言葉を思い出し、真っ先に逃げだすフォレスト。
でも仲間のことを思い出し、逃げてきた道を戻り、仲間を救い出します。
それから「ボールから目を離さなければいい」と言われて勧められた卓球はみるみる上達。
一緒にエビ漁をしようというババとの約束を果たすため、有り金を全部資金調達に回します。
そこには「失敗したらどうしよう」などという気持ちは微塵も感じられません。
それが功を奏したのか、フォレストはエビ漁で大成功し、大金持ちになり、いわゆる人生の成功を手にしたのでした。
ジェニーがフォレストのもとから去ると、一時は悲しむフォレストでしたが、それを振り払うためなのか、ただ走り出します。
人々は彼の行動に意味を見出そうとしましたが、本人には意味は特にありませんでした。
ただ、走りたかったから走っていたのです。
こうしてフォレストの人生を振り返ってみると、彼はとてもシンプルに行動していたことが分かります。
一方のジェニーは、カントリー歌手になるために人生の設計図を描いていました。
フォレストとは真逆の生き方です。
「未来」という概念を持たないフォレストと比べると、彼女の生き方はもっともそうに見えます。
だって目標を目指して行動しているのですから。
しかし、映画ではジェニーの人生はお世辞にも成功と呼べるものではありませんでした。
勿論、目標に向かって頑張ることは素晴らしいことです。
ですが、私たちは目標や夢を重視しすぎるあまり「今」を軽視している気もするのです。
もっとシンプルに「今」を生きてみよう
『嫌われる勇気』では、目的地にたどり着くことを最重要視する生き方を「キーネーシス的人生」と説明されていました。
キーネーシス的人生は目標達成に意味をおくので、目標を達成するまでの過程は極端に言えば無意味とみなします。
しかし人生は目標だけでは存在し得ません。必ず過程を通らなければ目標とする地点に到達することはできないのです。
登山と同じです。
しかし、キーネーシス的人生を歩んでいる人は、その必ず通らなければいけない過程を楽しむことができません。
するとどうでしょう。
もし、過程の段階で終わってしまったら。
その人は自分の人生をどう捉えればよいのでしょうか。
恐らく心穏やかにはいられないと思います。
これに対し、過程そのものを結果とみなす生き方を「エネルゲイア的人生」と呼びます。
この生き方をする人は「今」に重点を置くので、常に人生は完結しています。
頂上に登ってみたいと思って山に登り始めても、山頂に達するかどうかは関係ないのです。
山登りをしていたつもりが、海でダイビングをしていた、なんてこともあるかもしれません。
結果はどうでもいいのです。
フォレストの生き方はズバリこの「エネルゲイア的人生」でしょう。
目の前のことに集中し、結果は運命にまかせる。
今持っている自分の力でベストを尽くし続ける。
フォレストを見ているとそのことの大切さを教えてくれている気がします。
人生に行き詰まっている人はフォレストのように、物事をシンプルに捉え、シンプルに生きてみませんか?
人生はチョコレートの箱みたいなもの。開けてみるまで中身は分からないのですから。
人生は複雑じゃない。
オスカー・ワイルド(詩人・作家・劇作家)
私たちの方が複雑だ。
人生はシンプルで、シンプルなことが正しいことなんだ。