他の人間より誰かを愛することは、「何かをより好むという大きな罪」である。我々は、すべての人間を愛さなければならない。すべての人間は我々の友なのだから、そうであらなければいけない。
アイン・ランド『アンセム』(1946年)より
・愛すべき人は社会が選ぶ
「平等」という言葉は、いかにも良い言葉のように聞こえる。
今の世界は超格差社会(1%の人間が99%の人間から搾取する)だから、「平等」を望んでいる人間は多いだろう。
しかし、「平等」という言葉にも表の面もあれば、裏の面もあるのだ。
もし、超平等社会という時代が到来したら、誰か特定の人間を他の人間より愛することが罪になる。
愛する人は、自分が選ぶのではなく、社会が選ぶようになる。
・平等とは思想の統一
「平等」とは言い換えれば「思想の統一」なのだ。
みんなに等しく価値が与えられるというのは、ずべての者たちの価値をゼロにすることでもある。
他者より抜きんでることは許されない。
そういう社会になったら、市民は市民同士で監視しあう。
自分たちより秀でようとしている者はいないか見張る。
そして、みんなでみんなの足を引っ張り合う。
他者より抜きんでることが禁止されているのだから、向上心の強い人も、もはや頑張らなくなる。
そうして社会は堕落した人間であふれ、もはやそこに歓びはない。
・言葉を拾い上げること
そういう社会は「平等」という言葉を大きく掲げてやってくる。
言葉が持つ表面だけの意味を捉えてはいけない。
すべての物事は一枚の葉と同じ。必ず裏表がある。
その言葉の裏とは何なのか、皿を持ち上げて裏返してみるように、絶えず言葉を拾い上げ考えなければならない。
アンセム
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