人生は短いー「I Could Be the One」のミュージックビデオに込められた意味を考える

シェアする

一度観たら忘れられないミュージックビデオ「I Could Be The One」。

どうして忘れられないのか、それはメッセージ性が高いからです。

今回はそんな「I Could Be The One」のミュージックビデオに込められた意味について考えていきたいと思います。

ミュージックビデオのストーリー

i could be the one

「Avicii vs Nicky Romero – I Could Be The One (Nicktim)」←クリックするとYouTubeに飛びます。

(冒頭部分)
目覚まし時計が室内に鳴り響くたびに勢いよく止める主人公の女性。

目覚まし時計を止めては、イラダチながら歯磨きをし、会社に行って、大量の仕事がデスクに投げ込まれ、帰ってきたら力なくベッドに倒れ込む。そしてカレンダーに×印をつけて・・・毎日毎日同じことの繰り返し。

ストレスも限界に達しており、カレンダーにつける×印もどんどん雑になっていく。

(同僚との会話)
彼女は日常的に抱えているストレスを同僚に話すものの、同僚はまともに聞いてくれない。

主人公「人生にうんざりしているの」
同僚 「また太ったから?」
主人公「なんか言った?」
同僚 「この記事・・・私はこの記事に助けられたわよ」

同僚が指さした雑誌の表紙には「体重を落として、理想の男性をゲットしよう!」と書いてある。

主人公「別に体重増えてないんだけど」
同僚 「とにかく私のサラダを代わりに食べた方がいいわ」

同僚は勝手に主人公のランチと自分のサラダを取り替える

主人公「あんたは○○を食べた方がいいわ」

(夢の中にて)
いつもと同じように目が覚めた彼女。
しかしベッドの隣には心当たりのない男性。
部屋のカーテンを開けてみると、そこには素晴らしい絶景が広がっていた。
部屋を歩き回ってみると彼女は一つのメモを発見する。
そのメモに書かれていたことは「やることリスト 1.何も気にしない 2.ただそれだけ」だった。

素晴らしいリゾート地でメモに書かれていたように、彼女は自分がやりたいことを何も気にせず好きなだけやることにした。

(現実世界)
幸せなひとときを過ごしていたら、再びあの嫌なアラーム音が部屋に鳴り響く。そう、これは夢だったのだ。

彼女はこんな人生は何かおかしいはずだと思い、セラピストに相談してみるが、やっぱり同僚の時と同じく、まともに話を聞いてくれることはなかった。

主人公 「私は誰かが作った、マスタープランの罠にはまっている気がするの」

主人公  「学校に行って、仕事を得て、住宅ローンを組んで・・・」
主人公  「これらを必死にやればやるほど私は死に近づいていく・・・」
セラピスト「もっと薬を増やしましょうね」

仕事中も夢の世界を思い出す彼女。
絶景に囲まれ、やりたいことをやって生き生きしている自分。
実際の現実は夢の世界とあまりにかけ離れ、ストレスは限界になりつつある。
会社にいる同僚たちを見回すと、面白くもない会話、愚痴、噂話、肩書きや所持品などの自慢話をしているだけ。
そんなつまらない同僚たちに彼女はうんざりする。

仕事中にあるサイトを見ている彼女。そのページのタイトルには「自力救助:自分を自由にしてあげられるのは、自分だけだ」と書いてある。そして青空の中、楽しそうにジャンプしている人の画像。その画像の下には「人生を取り戻せ」と書いてあるボタンが。

フラッシュバックする夢。つまらない同僚たち。デスクに投げ込まれる山積みの仕事。毎日同じことの繰り返し。

「こんなんで人生を終わりたくない!」とついにストレスが爆発した主人公は「人生を取り戻せ」と書いてあるボタンをクリックする。そしてデスクに積み上げられた仕事の山を投げ飛ばし、プリンターを破壊し、つまらない同僚達とおさらばし、逃げるように会社を抜け出した。

(エンディング)
会社から抜け出た彼女は電話でバルバドス(多分夢の中でいた所?)行きの片道切符を申し込む。
車のキーでロックを解除し、走って車に駆け寄る。
ところが、あともう少しで車に、という所でトラックにはねられてしまう。

終わり。

ミュージックビデオに込められたメッセージ

初めてこのミュージックビデオを観た人は、見終わってきっと唖然としたと思います。

「え?・・・もう少しだったのに。なんで?」と。

私も最初は謎でしかありませんでした。

しかし、この理由は最後に彼女をはねたトラックをよく見ると分かります。

トラックをよく見ると「2LATE(=too late 遅すぎる)」と書いてあるのです。

つまり、このミュージックビデオが伝えたかったことは「もっと人生やりたいことをしよう。ただし遅すぎてはダメだ。人生はそんなに長くない。」ということだと思うのです。

主人公の彼女も、もっと早い段階で仕事をやめていれば、あんなに切羽詰まって確認もせずに車に走って行かなかったはずです。そうすれば多分トラックにひかれることもなかった。

彼女があんな不幸な目に遭ってしまったのは全て遅すぎたからです。

あえて、このようなショッキングな終わり方にすることで「遅すぎてはダメ」だということを、私たちに強く訴えているのだと思います。

「I Could Be The One」と似た内容のミュージックビデオ

「I Could Be The One」を手がけたアヴィーチーの作品の中に、もう一つ似た内容のミュージックビデオがあります。

それは「Levels」です。

「Avicii – Levels」←クリックするとYouTubeに飛びます。

ミュージックビデオの内容は、簡単に言うと会社勤めに疲れ切ったサラリーマンの男性が突然踊り出してしまい、その他の会社員も巻き込まれていく・・・というものです。

この二つのミュージックビデオ、どちらも「会社勤めに疲れ切っている」という主人公の設定が一致しています。

一方はストレスを爆発させ、一方は突然踊り出す。

細かい部分は違いますが、大きく見ればどちらも似ていると思うのです。

アヴィーチーは私たちに何を伝えたかったのか

とても内容が似ている「I Could Be The One」と「Levels」。

しかも、どちらも同じアーティストが手がけていると考えると、よほどこの作品を通じて私たちにメッセージを伝えたかったのではと思わずにはいられません。

そのメッセージとは、やはり「人生は短い、やりたいことはすぐにやろう。」ということだと思います。

けれどこの作品を手がけたアヴィーチーは自らこの世を去ってしまいました。

DJとして世界的に成功し、伝説とも呼ばれていたのに。

「I Could Be The One」の主人公とも「Levels」の主人公とも違って、自分のやりたいことをやって100%人生を楽しんでいるように見えたのに、一体どうしてなんだろうと不思議に思いました。

自ら命を絶ってしまった理由について調べてみると、アヴィーチーの家族が出した声明文を見つけました。

その声明文の内容を簡単にまとめると「仕事のし過ぎによるストレスが大きな原因」だったみたいです。

アヴィーチーは人生の意味や、人生そのもの、そして幸福について深く探求していたそうです。

そんな中、彼は音楽の世界においてものすごい成功をおさめてしまいました。

完璧主義者だった彼は、ファンの期待を裏切らないようにとさらに努力をし続け、それにより非常に大きなストレスを抱えていたようです。

彼自身の幸福と仕事のバランスを取り戻すため、ツアーをやめたのですがそれでも耐えられずこのような結果になってしまった・・・とのこと。

たとえ、大好きなことを仕事にしていたとしても、それで「100%幸せになれる」ということではないんだなと、この事実を知って思いました。

だから、私は「I Could Be The One」に込められているメッセージとしてもう一つ、付け加えたいと思います。

・どんなときでも自分を思いやることのできる心の余裕を持とう

最後にアヴィーチーの作品の中から名言を一つ紹介して終わります。

ある日キミはこの世界を去るときがやってくる。だから生きて良かったと思えるような人生を送るんだ。

「Avicii – The Nights」より

それでは~。

ツイッターをフォローする
スポンサーリンク

シェアする

フォローする