一週間後
次の日・・・
その次の日・・・
そのまた次の日
あんなに掃除を楽しんでいたもるもる君だったのに、どうしてこのような結果になってしまったのでしょう?
もるもる君が掃除を好きでなくなってしまった理由は、アンダーマイニング効果の影響を受けてしまったからです。
もるもる君は、もともと掃除が好きでした。
「掃除が好きだから、楽しいから、掃除をする」という内発的な動機によって、もるもる君は掃除をしていたのです。
しかし、ある日、このもるもる君の行為を褒めてアイスをくれる人が登場しました。
この時、もるもる君は素直に喜んだのですが、日を追うごとに、「掃除が好きだから掃除をする」という目的から「アイスをもらいたいから掃除をする」という目的にすり替わってしまったのです。
「アイスをもらいたいから掃除をする」というのは外発的な動機になります。
「掃除をするとアイスをもらえる」という外発的動機づけをされたことで、「好きだから掃除をする」という内発的動機づけが低下し、結果として「アイスをもらえないなら掃除はしたくない」という思考に変わってしまったのです。
この、内発的に動機づけられた行為に対して、報酬などの外発的動機づけを与えることで、モチベーションを低下させてしまう現象のことをアンダーマイニング現象といいます。
つまり、このもるもる君の出来事でいえば、もしアイスをくれる人が最初からいなかったら、もるもる君はまだ掃除をし続けていた可能性が大いにあったということです。
けれど目的が「アイスをもらうために掃除をする」に、すり替わってしまった今となっては、もはや自発的に掃除をしようとは思えなくなってしまいました。
このアンダーマイニング効果から得られる教訓は、「好きで物事を行っている人に対してむやみに報酬を与えることはやめたほうがいい」ということです。
あなたが与えた報酬によって、その人の目的がいつの間にか「報酬をもらうこと」にすり替わり、今後自発的にその物事に取り組まなくなってしまうかもしれません。
もし、その人のことを本当に応援したいと思っているのなら、このアンダーマイニング効果のことも考えて、慎重に行動したほうがよいでしょう。
逆に、自分が好きでやっていることに対して何か報酬を与えられた場合は、何も考えないでその時の嬉しさだけを感じていると、もるもる君のようにいつの間にか目的がすり替わってしまう恐れがあるので、この効果のことを頭の片隅にとどめておきましょう。
初めは楽しかったのに、なんだか最近やる気が起きない・・・という場合は、アンダーマイニング効果を受けてしまっている可能性があります。
そうなってしまった時は、その行為をやり始めた頃の楽しさや嬉しさを思い出してみましょう。