読書メモ4『一流の頭脳』「運動は脳にいい」が科学的に分かる本

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【読書メモとは】
私は本を読むときは、心に留めておきたい一節を見つけたら半透明の付箋を貼るようにしています。それだけで終わる場合もありますが、より詳しく記憶しておきたいという場合には読書メモを取ります。この記事は、そんな私の読書メモを書き起こしたものです。

<著者アンダース・ハンセンについて>

精神科医。
スウェーデンのストックホルム出身。
カロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学)にて医学を、ストックホルム商科大学にて企業経営を修めた。現在は精神科病院に上級医師として勤務するかたわら、多数の記事の執筆を行っている。2014年刊行の著書『HALSA PÅ RECEPT(健康の処方箋)』(カール・ヨハン・スンドベリとの共著、本書の前著)は、8か国で出版が予定されている。
これまでに、『ダーゲンス・インドゥストリ』(スウェーデンの経済新聞)、『E24/SvD』(スウェーデンを代表する朝刊紙のビジネス専門ウェブ版)、『レーカレ・ティードニング』(スウェーデンの医療関係者向けの雑誌)、『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』などに医学研究や医薬品に関する記事を2000件以上寄稿。ラジオやテレビでも情報を発信し、とくにテレビ番組『科学の世界』への出演で有名。講演活動も精力的に行っている。
精神科医として活動するかたわら、テニス、サッカー、ランニングに励み、週に5日、少なくとも1回45分取り組むようにしている。

裏表紙より

<内容紹介>

世界最高峰の研究機関しか知り得ない、潜在能力を100%引き出す「脳の機密情報」を初公開
頭脳をアップグレードして「ブレイン・シフト」を起こす科学メソッド
・賢く「ストレス」を解消してあらゆる能力の基礎値を上げる
・「集中力」を効率よく高めて成果を最大化する
・精神論一切なし!「モチベーション」の最新研究
・「天才的なひらめき」を確実に何度も起こす
・「子どもの学力」と「自分のIQ」を驚くほど伸ばす
・科学が「もっとも信頼できる」とした方法で「覚える」
・健康な脳と身体を保つ「長生き」の新常識!
自分を変える「世界最新の知見」をこの1冊に集約。

裏表紙より

<目次>

はじめに

第1章 自分を変える「ブレイン・シフト」
    「あなた」に関する、知られざるとっておきの秘密

    原始人と現代人の知能レース
    100兆もの「脳内連携」をフル稼働させる
    脳のアップグレードを「完遂」する

第2章 脳から「ストレス」を取り払う
    あらゆるパフォーマンスの基礎値を高める算段

    「見えない敵」が頭を鈍らせる
    ストレス物質「コルチゾール」を手なずける
    世界のストレス研究、最新知見!
    敵になるストレス、味方になるストレス
    賢くストレスを解消する

第3章 カロリンスカ式「集中力」戦略
    圧倒的な成果を手にする「没頭する技術」

    たった一つのことに集中する
    思考を一点に絞る「フォーカス・メカニズム」
    集中物質「ドーパミン」を総動員する
    「注意散漫」の最新サイエンス
    自分をコントロールして最後までやり抜く

第4章 「やる気」の最新科学
    目標まで迷うことなく一気に突き進む

    意欲が湧かないのはなぜ?
    最強の脳物質「BDNF」を分泌する
    「ランナーズハイ」の科学

第5章 「記憶力」を極限まで高める
    試験、ビジネス、運動・・・他者と顕著に差が出るのはここ!

    「脳の萎縮」を食い止めろ!
    脳細胞の復活劇

第6章 頭のなかから「アイデア」を取り出す
    最新リサーチが実証した「ひらめきの生み方」

    アイデアの科学
    アイデアが歩き出す
    「創造の発信源」を突き止め刺激する

第7章 「学力」を伸ばす
    才能を一気に開花させる最良の方法

    学力と運動の絶対的な関係
    IQを高める

第8章 「健康」な頭脳
    認知症、高血圧、高血糖・・・あらゆる病と無縁な「長生き」の秘訣

    「脳の老化」に歯止めをかける
    健康な頭脳が「健康寿命」を長くする

第9章 超・一流の頭脳
    あなたを劇的に変える「脳の機密情報」

    知的体力に差がつく「世界最古の知識」
    「頭脳クライシス」を脱出する
    科学が示す「現時点で最新の結論」

第10章 「一流の頭脳」マニュアル

おわりに ただちに本を閉じよう

「一流の頭脳」用語集

参考文献


●この本に書いてあること

・運動することがいかに脳に良いかということ
・脳を鍛えるための具体的な運動方法
・脳の仕組み

●この本を読むのにオススメな人

・脳を鍛えたい人
・運動をするモチベーションを得たい人
・今、何らかの身体的・精神的問題を抱えており、それを解決したいと望んでいる人
・「運動が体にとって(脳にとっても)良い」という科学的根拠を知りたい人


タイトルの『一流の頭脳』だけを読むと、一流と呼ばれる人たちの考え方などが書かれている本なのかと思ってしまうが、英語で「BRAIN How To Train Your Brain According To The Best And Latest Neuroscience(脳 最高で最新の神経科学に従って、脳を鍛える方法)」と書いてあるように、これは「自分の脳を一流にしよう」という内容の本。

自分の脳を一流にアップグレードする方法・・・それは「運動」であるが、この本の著者は「科学的根拠なき話はできるだけ書かないようにした」と断言しており、どの内容も大変説得力のあるものになっている。


原始人(私たちの祖先)は身体を動かすことで生き延びてきた。

私たちの身体は動くのに適したつくりになっており、それは脳についても同じことがいえる。

「人間の脳は普段10%しか使われていない」は嘘。私たちは脳のすべてを使っている。

不安を軽減させたいならウォーキングよりもランニング

ストレスや不安を感じにくい体にするための運動
→筋トレより有酸素運動のほうが効果アリ
 最低20分 理想は30~45分 習慣化すること

運動によってドーパミンが分泌され集中力も改善される
→運動直後に分泌量は増え、その効果は数時間続く
→身体に与える負荷が高いほど、ドーパミンの分泌量は増える(つまり歩くよりは走ったほうが〇)
→理想的な心拍数の目安は、最大心拍数の70~75%
→最低20分 理想は30分

*最大心拍数=220-自分の年齢

うつ病の治療に最も効果がある運動はランニング

アメリカでの研究により、座り過ぎだった被験者たちは、集中力と記憶力が損なわれており、思考も遅くなっていたことが明らかに。
→単純に座り過ぎると脳は衰える。

運動は身体にも脳にも良いことだが、”しすぎ”は逆にストレスになってしまう。
→その限界点はまだ科学的には明らかになっていないが、少なくとも脳を鍛えたり、記憶力を向上させることが目的なら、ウルトラマラソンなどの過酷なレースに参加すべきではない。

脳トレに脳を鍛える効果はないことが科学的に分かっている。
→クロスワードパズルやナンプレも同じで、やってもそのパズルが得意になるだけ。

研究によって、運動することは知能を高める効果もあることが分かっている。
どんな運動かは大した問題ではなく、肝心なのは「心拍数を増やす」こと。

座るよりも立った方が思考力は高くなる。
→解決したい問題があるなら、机の前に座るよりは、立って歩き回ろう

知能の高さと相関があるのは持久力のみで筋力とは無関係

「ブルーゾーン」・・・幸福かつ健康に長く生きられる地域、長生きしている人が多いのに認知症とは無縁の地域。
→沖縄、コスタリカ、イタリアのサルデーニャ、スウェーデンのスモーランド地方
→共通点①小さなコミュニティか離島であり、孤独になりにくい。(住民との密な絆、家族など)
 共通点②質素な食事
 共通点③日常的に”非常によく身体を動かしている”こと。(農作業、階段、歩く距離)

著者が推奨する、脳のための最高のコンディションを保つための運動
→ランニングを週に3回、45分以上 やはり肝心なのは「心拍数を増やす」こと。

運動すれば”子供の脳”に近くできる

GABA(ギャバ)という脳内物質は脳内の活動を抑制して、変化が起こらないようにする「ブレーキ」の役目を担っているが、運動することでGABAの脳を変化させまいとする作用を取り除くことができる。

そのため、脳が柔軟になり、再編成しやすくなる
ようするに、運動すると「子供の脳」に近くなっていくということ

一流の頭脳1
一流の頭脳2

運動すればストレスに免疫をつけることができる

ストレス反応が起きる仕組み

なんらかの刺激を受けることで、脳の扁桃体という警報システムの役割を担っている領域が警報を発令する。この警報発令によりコルチゾールが分泌され、これにより手の震えや緊張などのストレス反応が起きる。

けれどコルチゾールが分泌されることにより、コルチゾールの血中濃度が上昇するとさらに扁桃体を興奮させてしまい、またコルチゾールが分泌されストレス反応が起きるという、いわばストレスの負の連鎖に陥ってしまう。

一流の頭脳3

扁桃体にブレーキをかけるもの

この扁桃体の暴走にブレーキをかける役目を担っているのが「海馬」。

海馬は記憶の中枢と知られることで有名だが、ブレーキの役割も果たしている。

つまり車でいえば、海馬がブレーキ、扁桃体がアクセルということ。

普段はこの海馬と扁桃体が互いに綱を引きあうようにしてバランスを保っている。

一流の頭脳4

海馬は委縮する

こんな大切な役割を担ってくれている海馬だが、なんと慢性的にコルチゾールが分泌され続けると海馬は委縮してしまう。

”海馬が委縮する”というのは大袈裟ではなくて、実際、重いストレスを抱えている人の海馬は平均よりわずかに小さい。

海馬が委縮してしまうと、言葉がうまく出てこなかったり、場所の認識ができなくなったりするようになる。

一流の頭脳5

運動することでストレス免疫をつける仕組み

ストレスになる刺激を受けるとコルチゾールが分泌されるが、運動をしてもコルチゾールは分泌される。

なぜかというと、肉体に負担がかかる活動は、脳からすれば一種のストレスだから。

しかし運動をやめると、コルチゾールの分泌量は減り、運動する前のレベルに戻る。

一流の頭脳6

しかも、運動を習慣づけると、運動しているときのコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、運動をやめたときに下がる量は逆に増えていく。

ここからが重要で、定期的に運動を続けていると、運動以外のことが原因のストレスを抱えているときでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか増えなくなっていく。

これが、運動すればストレスに対する免疫をつけることができるということ!

一流の頭脳7

扁桃体にブレーキをかけるもうひとつのもの

海馬以外に扁桃体にブレーキをかける役割を担っているものがある。

それは前頭葉。

前頭葉は抽象的思考や分析的思考を行う場所で、私たちが理性を失った行動に出ないよう働いている。

前頭葉も委縮する

海馬が委縮するように、この前頭葉もストレスによって委縮してしまう。

実際、極度の心配性の人は前頭葉の各部位が小さい。

前頭葉が委縮すると、ほんの差些細なことでも過剰に反応してしまうようになる。

前頭葉を物理的に大きくしよう

前頭葉を委縮させないために身体を動かそう。

身体を動かせば、脳の血流が増える。これにより前頭葉に大量の血液が流れ、機能を促進することができる。

また長期的に運動を習慣化させると、前頭葉に新しい血管が作られ、血液や酸素の供給量が増え、それによって老廃物がより取り除かれやすくなる。

さらに、前頭葉と扁桃体の連携も強化されるため、よりアクセルの役割を担う扁桃体を制御しやすくなる。

例えるなら、運動によって前頭葉を改善する前は、前頭葉が扁桃体をリモートで監視していたのが、改善後は直接同じ部屋で監視するようになったイメージ。

一流の頭脳8
一流の頭脳9

また、運動することが前頭葉にもたらすメリットはそれだけでなく・・・

なんと前頭葉が物理的に大きくなる!

ストレスを根源からなくす

GABAはストレスがかかっている状況で、脳の活動を鎮め、脳細胞の興奮を抑える、いわば「消火器」としての役割を担っている物質でもある。

一流の頭脳10

この抗ストレス作用は運動によって活発化させることができる。

脳の大脳皮質という領域でGABAの働きが促進されるのだが、この大脳皮質という領域はストレスを生み出す源でもある。

つまり、その源で消火器としての役割を持つGABAの働きを促進させるということは、運動はストレスのおおもとに作用を及ぼすことができるということ。

運動で脳のブレーキを強化する

運動を習慣づけることは、脳という車のブレーキペダルを強化することでもある。

そうすることで、闘うべきか、逃げるべきかという「闘争か逃走か」モードに入りにくくなる。

逆に運動を全くせず、脳のブレーキを強化しないということは、極端に言えば「一分以内にどちらか好きなメニューを選べ」と聞かれたくらいで、それをストレスだと感じ、パニックになり時間内に決められないという状態になってしまうかもしれないということ。

一流の頭脳11

運動すれば食欲もおさまる

ストレスになる刺激を受け、コルチゾールが分泌されると脂肪が蓄積されやすくなる。(ようするに太りやすくなるということ)

その理由は、コルチゾールに身体の脂肪の燃焼を妨げる作用があり、食欲が増すから。

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だから逆に働きかければ、体重を落としやすくすることができる。

運動をすれば(習慣化すること)、コルチゾールの分泌量が減る、すると脂肪が燃えやすくなり食欲も減る、それによって見た目の脂肪も減らすことができる。

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不安を取り除きたいなら走ろう

心配や不安を軽減させたいなら、運動することは当然であるが、具体的には歩くよりは走ろう。

不安を取り除くことが目的なら、肉体にある程度負荷がかかるほうが効果は高い。

それは何故か。

その答えは心拍数にある。

誰もが経験したことがあるように、人は不安を抱くと心拍数と血圧が上昇する。

けれど、運動をしても同じように心拍数と血圧が上昇する。

しかし、運動の場合はそこで終わらず、脳内でドーパミンが分泌され快感を覚えるのだ。(運動した後のスッキリした気持ち)

すると脳は、「心拍数や血圧が上昇しても、それは不安やパニックの前触れではなくよい気分をもたらしてくれるものなんだ」と認識するようになる。

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運動を習慣化することで、不安や心配を抱いた時と同じ反応を経験させ、脳に「たいしたことないな」と思わせることができる。

どうして運動の効果を人は知らないのか

ランニングには抗うつ剤と同じ作用がある。しかも、それなのに薬と違って副作用はゼロ!

でもこの事実を知っている人は、あまりに少ない。

それは何故か。

その答えは【お金】!

お金を生む薬の研究には、製薬会社などが莫大な研究資金を提供する。

しかし、お金を生まない運動の研究には、製薬会社は資金を提供しない。(資金を提供するのはたいてい大学)

そして、お金を生む新薬には莫大な広告費が費やされる。

例:「プロザック」という名で知られる抗うつ剤は、世界中の何百万という人々が服用して、爆発的に売れた。しかし、服用した人の3分の1の人には全く効果がないことが明らかになり、それとほぼ同数の人が効果を十分に得られなかった。また服用した人の多くに、睡眠障害や口内の渇き、吐き気や性機能障害などの副作用が認められたというありさま。

運動することで増やせる3つのありがたい物質

セロトニン・・・鎮静作用がある。興奮した脳細胞を鎮めて悩みや不安を和らげる。
       心を落ち着かせ、冷静な判断や強い精神力を促す。
               ↓欠乏すると
       機嫌が悪くなったり、不安になったりする

ノルアドレナリン・・・やる気や注意深さ、集中力を促す。これが足りないと、疲労を覚えたり気持ちが滅入ったりする。

ドーパミン・・・意欲や活動を促す作用があり、集中力や意思決定にも関わっている。

運動することで、この3つの分泌量を増やすことができる。
その状態は1時間~数時間続くが、運動を習慣づければ丸一日続くようになる!

「奇跡」の物質BDNFだって運動で増やせる!

BDNFは脳細胞がほかの物質によって傷ついたり、死んでしまわないように保護する役割を担っている。

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また、それだけでなく、新たに生まれた細胞を助け、初期段階にある細胞の生存や成長を促す。脳の細胞間のつながりを強化し、学習や記憶の力を高める。細胞の老化を遅らせる・・・など他にもたくさんの素晴らしい働きをしており科学が「奇跡」と呼ぶ物質だ。

この「奇跡」の物質、BDNFも運動によって増やすことができる!

BDNFを増やすための運動は有酸素運動がよく、筋トレでは効果がないといわれている。そしてやはり、心拍数を増やすことが肝心だ。

創造力も運動で高められる!・・・けれど条件アリ

創造力を高めて何かひらめきたいときは、机の前に座って考え込むより歩こう。

この場合、外を歩いても、部屋の中を歩いても場所は関係ない。とにかく”歩く”ということに意味がある。

ウォーキングよりはランニングかそれと同じような活動の方が効果がある。

注意すべきは、疲れ切ってしまうほど運動すると創造力を向上させることができないということ。

脳よりも筋肉に血流がまわされ、脳の働きが鈍くなるからである。

ようするに、創造力は運動によって高めることができるが、ある程度健康体でなければならないのだ。

普段からあまり運動をしていない人が、創造力を高めようと運動しても、すぐに疲れ切ってしまうから逆に創造力は衰えてしまう。

だから、自分はまだ運動に慣れていないという人は、ウォーキングやスロージョギングから始めよう。

運動によって創造力を高めるというスキルを使うには、ある程度の身体レベルが必要なのだ。

一流の頭脳16

ちなみに運動によって創造力が高まった状態が続くのは運動後1時間~数時間。

また、運動以外のことで言えば、優れたアイデアを思いつくには、アイデアそのものをたくさん思いつくことが効果的だということが実験によって明らかになっている。

組織心理学者Adam Grant(アダム・グラント)による「The surprising habits of original thinkers(独創的な人の驚くべき週間)」という講演が面白かったので、要点をまとめました。

認知症を防ぎたいなら脳トレではなく歩く

歩くことは毎日クロスワードパズルを解くよりはるかに効果があり、認知症を防ぐだけでなく認知機能すべての衰えを防ぐことが立証されている。

クロスワードパズルを解いている時は、脳のほぼ言語中枢だけが活発化するが、歩いている時は脳のあらゆる領域が協調しながら活動しているからだ。

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時代に追いついていない私たちの身体

人類の歴史を24時間で例えると、私たちは0時から23:40まで狩猟生活を送っていたことになる。

そして23:59分40秒から工業化が始まり、インターネットにつながったのは23:59分59秒。

その24時間の間、私たちの脳はほぼ変わっていない。

私たちの遺伝子は身体を動かすようにプログラムされているが、生活様式が一変し肉体が追い付いていない状態なのだ。

だから、あらゆる心身の不調は身体を動かさなくなったことが原因だと考えていい。

「運動したくない」と思ってしまう理由

身体を動かすことが私たちに素晴らしい効果をもたらしてくれるものであり、逆に身体を動かさないことがあらゆる心身の不調につながっているのに、私たちは「運動したくない」と思ってしまいがち。

それは何故か。

その答えは生存本能にある。

昔、つまり狩猟時代はそもそも身体を動かさないと生存できなかった。

だから脳は「動いてエネルギー源を見つけろ!」と私たちに命令し、生存の可能性が高まる正しい行動(動くこと)をした時にドーパミンやセロトニン、エンドルフィンなど幸せな気分になれる物質を分泌していた。

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しかし現在は、身体を動かさなくても簡単に食料を手に入れることができる。

だから脳は「だったら身体は動かさないで、エネルギーを溜め込んでおいたほうがいいのではないか?そうしたらいざというときは、そのエネルギー(脂肪)を使えるから」と考えるようになっているのだ。

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まとめ:ここまで知って運動しないのは・・・

『一流の頭脳』を読むことで運動することがいかに脳に良いのかということを非常に分かりやすく学ぶことができた。

これだけの効果を知って、運動しないことを選ぶのは、自分で人生をハードモードにするようなものだと感じた。(いやハードモードどころではなくベリーハードモードぐらいかもしれない)

運動を習慣づければ、扁桃体の暴走を止める脳のブレーキ機能を強化することでストレスに強くなる。前頭葉に新しい血管がつくられ老廃物が取り除かれやすくなる。記憶力・集中力・創造力向上。認知症予防。知能(IQ)も高められる。

運動をしないことを選択するのは、これらの効果を自ら棄てることに他ならない。

これらの効果を棄て、上手く働かない脳で生きる人生は困難なものになるだろう。(ちょっとした出来事で大きなストレスを感じたり、パニックになったり、海馬や前頭葉が委縮して記憶力が低下し物覚えが悪くなる)

私たちは既に脳は持っている。

当たり前のことだが、私たちはどこに行くときも、この脳を連れているのだ。

そして、その脳を使ってあらゆる場所で思考し判断している。

だから脳を鍛えるということは、日常的に多大な恩恵を得ることを期待できる。

運動を習慣づければ、人生はより生きやすいものになる。

「脳を鍛えるには運動しかない!」というキャッチーなタイトルからは想像できないくらい、内容は専門的。脳の仕組みから、運動することのメリットが説明されているので「脳と運動の関係性について、科学的根拠のある説明が欲しい」という人にオススメな本。
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