TEDでキャメロン・ラッセルの「Looks aren’t everything. Believe me, I’m a model.:ルックスだけが全てじゃない。モデルの私が言うんだから信じて」の講演を視聴しました。
講演のタイトルには「ルックスだけが全てじゃない」とありますが、文字通り「だけが全てじゃない」のであって、やはり外見が良いことによって受ける恩恵は大きいようです。
モデルのキャメロン・ラッセル自身も「私は遺伝子の宝くじに当たった」と断言しています。
ここまでだけを聞くと、「なんだやっぱり外見は良いに越したことはないな」という感想で終わってしまいますが、彼女は「だからといってそれで幸せになれるとは限らないの」と最後に付け加えます。
何故、外見が良いことで散々恩恵を受けているのに(講演ではその例として・・・財布を忘れたとき無料でドレスをプレゼントしてもらった、信号無視したけれど警察に「ごめんなさい、お巡りさん」と言うと見逃してくれた、などなど)、幸せとは限らないのかというと、彼女がいうには「モデルの人たちは毎日自分の外見を気にしているから」です。
本当に毎日自分の身体のことを心配しているそうです。
ある意味それで仕事しているので、当たり前と言えば当たり前なのですが、実際やってみるとなると、けっこう大変だと思います。
肌の調子もあるし、怪我もやたらできない。老化との闘い。体重管理もしないといけない。お手入れも毎日。
他にもモデルの人にしか分からない大変なことが、いろいろあるでしょう。
そう思うと、確かに彼女が言う通り「だからといって幸せとは限らない」のは、理解できます。
外見が良いと得することがたくさんある=宝くじに当たること→だからといって幸せになれるとは限らない=宝くじに当たることで不幸になってしまった人も数多くいる。
彼女が言いたかったことは、こういうことだと思うのです。
講演の内容は紹介したとおりですが、私がこの講演を見て心に引っかかったのは、彼女の「イメージの持つ力は強烈です。しかし同時にイメージは表面的なものなんです」という言葉。
講演の最初の方で彼女のモデルとしての非常にセクシーな写真が登場します。
男性モデルと抱き合う形の写真です。
この写真を見ると、相当彼女がモデルとして慣れているのだろうと思ってしまいます。
けれど彼女の種明かしによると、その写真を撮影したときには、まだ彼女は男性と付き合った経験もなく、ポーズも全てカメラマンの指示に従っていただけなんです。
要するに「全く慣れていなかった」ということ。
他にも、雑誌の撮影をした日と同じ日に撮った彼女の個人的な写真が紹介されますが、どの写真を見てもモデルとして撮影されている彼女と、日常的な彼女は、まるで別人レベルに見た目が違うのです。
キャメロン・ラッセル自身も「モデルとして撮影されている私は、本当の私を表していない。これは作品としての私です。」と言っています。
「とは言ってもモデルなんだから、普段の写真もモデルっぽいんでしょ?」と思う人もいるかもしれませんが、普段の彼女の写真からは、とてもモデルをやっているとは分かりません。
「Looks aren’t everything. Believe me, I’m a model.:ルックスだけが全てじゃない。モデルの私が言うんだから信じて―キャメロン・ラッセル」クリックするとYouTubeで視聴できます。
この種明かしを見て、私は彼女の言っている「イメージの持つ力は強烈」の意味が分かりました。
そもそもイメージとはなんなのか。
イメージとは、
①心の中に思い浮かべる姿や情景。心象。形象。イマージュ。
三省堂 大辞林3版より
②心の中に思い描くこと。
③ 〘心〙 目の前にない対象を直観的・具体的に思い描いた像。
このようにイメージとは、真実ではないのです。
けれど、私たちはついイメージを真実と思い込んでしまいがちです。
例えばこの2つの洋楽ミュージックビデオ。
どちらも主人公を演じている人は、男性だと思いますよね。
けれど、実はどちらも女性なんです。
そう、二人とも男装しているんです。
でも言われるまでは気付けませんし、種明かしされてもなかなか信じられないですよね。
これがイメージの持つパワーです。
まぁ、これは極端な例ですが、もっと身近な例で言えば、同じ内容のことを説明するにしても、白衣を着た人とTシャツを着た人では、白衣を着ている人が言う方が人は信じやすいと思うのです。
これと同じように、スーツを着て謝罪している人と、タンクトップで謝罪している人、どちらが心から謝罪をしているように見えるかというと、多分ほとんどの人が「スーツを着ている人」と答えるのではないでしょうか。
けれど、本当に信頼できる人はTシャツを着ている人の方かもしれませんし、心の底から深く反省しているのはタンクトップを着ている人の方かもしれません。
こんな風に、外見からはその人の真実のようなものは見抜けないのです。
心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ。
サン=テグジュペリ(作家)
なのである人について何かイメージ、第一印象を持ったら、それが全てだと思わないことが大切。
実際は自分の持つイメージと180度違う人かもしれません。
中にはイメージ通りの人もいると思いますが、見た目だけでははっきりとは断定できないので、それならば最初から当てにしない方が良いです。
どうしてかと言うと、人は一度自分が「これはこうだ!」と思ってしまうと、そういう風に捉えるように何事も見てしまいがちだから。
色眼鏡で見てしまうということです。
こうなると、真実に辿り着くまでには相当時間がかかってしまいます。
それに、もしかすると相手はイメージの持つ力を利用しているのかもしれません。
嘘を信じてもらえるように、それっぽい洋服を着ているのかもしれないのです。
何かに対してイメージを持ったら、それは表面的なものだということを思い出すことの必要性を、キャメロン・ラッセルの講演から学びました。
とは言うものの、彼女が言う様に「イメージの持つ力は強烈」なので、時には難しいこともありますが、その強烈なパワーに負けない、見抜く力というか、精神を養いたいものです。
それでは~。