『ラストオブアス2』感想 炎上はポリコレ以前の話

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『ラストオブアス1』に感動し、それから『ラストオブアス2』に長い間期待を膨らませ、先日ようやくクリアーしたので感想を書き記しておく。

<注意>以下ネタバレを含む


はっきり言って、とても残念だった。

ストーリーが。

いきなり『ラストオブアス2(これよりラスアス2)』から始めた人は、もしかしたらそこまでストーリーについて残念に思わないかもしれないが、『ラスアス1』から始めた、そして『ラスアス1』のストーリーに感動した人間としては、今回の内容は非常に満足できないものだった。

ラストオブアス1~2のあらすじ

『ラスアス1』から『ラスアス2』の大まかな流れはこうだ。

人間がゾンビ化するパンデミックが発生!

ジョエル(1の主人公の中年男性)の娘サリーが大混乱のなか負傷し、政府側の人間に射殺される。

エリー(1の主人公の少女)、ゾンビに噛まれたのに感染しない!抗体がある!そしてこの抗体を使えばパンデミックから人類を救えるかもしれない!

抗体ワクチンを作るためにジョエルが運び屋としてエリーを病院まで護送することに。

旅の過程で、ジョエルはエリーを死んだ娘サラに重ね合わせ愛情を抱くように。

病院にエリーを無事に連れて行ったら、抗体ワクチンを作るには宿主(つまりエリー)には死んでもらわないといけないことが判明!

ジョエルは反対するも病院側に却下され拘束される。

脱走したジョエルはエリーを救うため、病院の関係者たちを大虐殺。意識を失っているエリーを無事救い、病院を後にする。

車の後部座席で目が覚めたエリーは状況が分からない。ジョエルに真相を尋ねるも、ジョエルは「エリーのように抗体を持った人間がたくさんいたから帰ることにした」と嘘をついた。それを聞いたエリーは、複雑な表情を浮かべ沈黙するのだった。

<↑ラスアス1ここまで↑>

<↓ここからラスアス2↓>

旅を終えたジョエルとエリーは仲間たちの拠点で平和に暮らしていたが、あの出来事以来ジョエルとエリーの関係には深い溝ができ、二人は疎遠になっていた。

ジョエルとトミー(ジョエルの弟)は、街の外をパトロール中、大量の感染者に囲まれ危機に陥っているアビー(見知らぬ女性)を発見し、彼女の窮地を救う。

アビーがジョエルとトミーを安全な建物に案内すると、アビーはジョエルにいきなり発砲。アビーはジョエルに復讐するために、ジョエルをずっと探していたのだった。

アビーがジョエルを追っていた理由。それはジョエルがエリーを病院から救うために殺した医師は、なんとアビーの父親だったのだ。アビーは父の仇を討つためにジョエルに復讐する計画を立てていたのだった。

ジョエルの帰りが遅いことに気づいたエリーは、ジョエルの捜索に向かう。するとアビー達に殺されかけているジョエルを発見。助けようとするもあっけなく体を押さえられ、なんと目の前でアビーによりジョエルは撲殺されるのだった。このときエリーは「全員ぶっ殺してやる!」と叫び復讐を心に誓う。(←ここ重要)

エリーはジョエルの仇を討つために、アビー達の仲間を次々と殺害していく。そしてついにアビーを倒す時がやってきた!しかし、あと一息のところで突然エリーの脳裏にある日のジョエルとの会話が思い出され、エリーは宿敵アビーを見逃したのだった。(あれ?あの叫びは?誓いは??)

アビーとの対決からエリーが家に戻ると、そこに愛する人はおらず家はほとんど空っぽだった。ジョエルからもらったギターを弾いてみるも、指を2本失った手(アビーとの死闘により)では以前のように上手く弾けない。エリーはジョエルの形見のギターを置いて、空っぽになった家に背を向けどこかに去って行くのだった。

<ラスアス2終わり>

だいぶカットした部分はあるが、大まかな内容は以上である。

ラストオブアス2はただの復讐劇

『ラスアス1』には人間ドラマがあった。愛情があった。そしてそれによる葛藤があり、それがストーリーに重みを持たせた。

しかし、『ラスアス2』の大部分はただの復讐劇である。

殺した!殺された!キエー!!仕返しぃ!!

なのだ。これが面白いだろうか?わたしには面白くなかった。

敵であるアビー側の心情を理解するために、アビーを操作するパートがあったり、それによりアビーの過去や置かれている立場は理解できるのだが、結局のところ「父のような存在であるジョエルを殺されたエリー」と「実父を殺されたアビー」の血みどろの戦いなだけなのだ。

そして『ラスアス2』の最大のポイントであり問題点は、エリーが宿敵アビーを殺さずに見逃すということだ。

これについては「復讐の連鎖を終わらせるため」とか「ジョエルを許すため」とか、様々な見方ができるが、わたしはやっぱり、きちんと決着をつけて欲しかった。

何故なら、ジョエルは死ぬ気でエリーを守ってくれたから。『ラスアス1』のストーリーに感動した、特に、ジョエルの生き方に共感したわたしとしては、死ぬ気でアビーを追ってきた以上、ジョエルのためにも仇を討って欲しかった。

なのにエリーはそうしなかった。

エリーに対する疑問点は他にもある。

死ぬ気で守ってくれたジョエルに対して、どうしてあんなにエリーは冷たいのか。

エリーは「わたしはあの病院で死ぬはずだった。死んで生きた証をのこせたのに!」と、ジョエルに訴えた。

だけど、「死んで生きた証をのこす」っていったいなんなんだ?

今生きていることが、なによりもの証なんじゃないのか?

どうしてそんなにあの病院で死ななかったことを根に持ってるの?

生き延びたくないの??

エリーに対してそんな疑問がいっぱいわいて、それでこの結末だから、ゲームをプレイしている身としては、操作しているエリーに対して完全に感情移入できず、なんとも後味の悪い内容になってしまった。

ポリコレがなかったとしても評価は変わらない

他の意見では「ポリコレに配慮しすぎた結果残念になった」というのもあるけど、わたしはこの残念感はポリコレ以前の話だと思う。

(注釈)ポリコレとは↓

”ポリティカル・コレクトネス( political correctness、略称:PC、ポリコレ)とは、社会の特定のグループのメンバーに不快感や不利益を与えないように意図された政策(または対策)などを表す言葉の総称であり、人種、信条、性別、体型などの違いによる偏見や差別を含まない中立的な表現や用語を使用することを指す。「政治的正しさ」「政治的妥当性」とも言われる。
具体例として、看護婦を性別を問わない「看護師」に統合したことや、母子健康手帳という名称を父親の育児参加を踏まえて「親子手帳」に変更したことなどが挙げられる。”Wikipediaより

ポリコレ要素を全部排除しても、ストーリー展開やテーマは変わらないからだ。

『ラスアス2』のテーマは「相互理解」らしい。

それが言いたいんだろうなってことは敵側のアビーを操作するパートが長めだし、アビーについての描写が多いからなんとなく分かっていた。

アビー側の気持ちに立てば、アビーの理屈も分かるから確かに「相互理解」は出来る。

けれど、そのテーマはなにも『ラスアス2』で訴えなくてもよかったのではないか。

『ラスアス2』は『ラスアス1』からの正当な続編なんだから。

どうしようもないけれど、そもそもジョエルが冒頭で死んでしまうことに無理があったと思う。

『ラスアス1』が絶賛されたのは、『ラスアス1』のキャラやストーリーに多くの人が共感できたから。

それなのだから、『ラスアス2』もジョエルとエリーの二人旅。シンプルにそれでよかったのではないかと思う。

その他の点について

前作に引き続き、今作もグラフィック、ゲームシステムは最高である。

特にゲームシステムは前作よりも、今作の方がパワーアップしていて楽しめた。

ストーリーをクリアーすると、クリア後の特典として、強くてニューゲームが楽しめる他に、ゲームポイントを使って「弾薬無限」などのモードで楽しむこともできるから、やりこみ要素満載なのは嬉しい。

ストーリーはともかく、圧倒的なグラフィック、リアルで緊張感のある銃撃戦、ハラハラドキドキさせられるホラー演出を求めている人にはオススメできるゲームである。

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