私にとってヒッチコックの映画と言えば”美しい不気味さ”。
ちょっと不気味な表情。
ちょっと不気味な人。
先行きが悪そうな、なんだか不気味な空の色。
何かが起きてしまいそうな、不気味な内装。
いかにも何かがいそうな、不気味な建物。
不気味な会話。
ヒッチコックの映画には大抵こんな不気味さが散りばめられていて、私はヒッチコックの映画を観る時は、いつもこの”美しい不気味さ”を楽しみにしている。
「”美しい不気味さ”ってなに?」と疑問に思った人もいるかもしれないけれど、それは観れば分かる。
ヒッチコックの映画の不気味さには美しさがある。
だから怖いものが苦手で、それでヒッチコックを避けている人がいたら、怖がらずに一度見観てみて欲しい。
これってヒッチコックカワサキ映画?
そんなヒッチコックの”美しい不気味さ”が好きな私だけれど、『北北西に進路を取れ』を観た時は肩透かしを食らった。
『北北西に進路を取れ』には、”美しい不気味さ”がなかった。
↑もうこの時点で不気味さがない
あったのはよくあるサスペンスのような分かりやすすぎるドキドキな展開。
決して不気味さはなかった。
しかも、分かりやすすぎて逆にドキドキしない。
先の展開の予想も最後まで当たり過ぎて、観終わった後わたしは無言になった。
無言の間「これって本当にヒッチコックの作品だよね?」と考えていた。
『めまい』や、
『サイコ』のような”美しい不気味さ”・・・いや”ただの不気味さ”すらなかった『北北西に進路を取れ』。
ヴァンダムのアジトに潜入するシーン。
歴代大統領の顔が岩に刻まれた巨大なモニュメントを降りて逃走するシーン。
そんなアクション映画のような迫力があるシーンがあって派手だったけれど、私はヒッチコックの良さはそれではないと思う。
『めまい』の高所恐怖症を表現したグイーンって風景が伸びる映像とか、『サイコ』の不気味な笑みと切り裂くような音楽がものすごくマッチしたシーンとか・・・そういうのがヒッチコックならではだと思うのだけれど・・・。
そうやって腑に落ちずに黙って考えていたら、ようやく納得のいく結論に行き着いた。
これは”ヒッチコックカワサキ”の映画なんだと。
ちなみに”コックカワサキ”は『星のカービィ』に登場するこんなキャラクター↓
コックカワサキは、コックなのになんと料理は大の下手!激マズ料理を作る!!
コックカワサキについては詳しくはコチラ↓の記事を読んで欲しい・・・。
そして”ヒッチコックカワサキ”。
えっ?どうヒッチコックとコックカワサキが関係あるのかって?
だってヒッチコック、コックカワサキ。
関係ありすぎです。
コックの英語はどうなっているんでしょう。
ヒッチコックはHitchcock。
料理人を意味するコックはcook。
・・・ん?
cockとcook、あれ?英語の綴りは違う・・・?
まぁ、関係ありません。
カタカナにすればヒッチコックのコックもコックカワサキのコックも同じなので。
ヒッチコックかヒッチコックカワサキか
そういうわけで、ヒッチコックの作品のなかには”ヒッチコック”と”ヒッチコックカワサキ”のものがあるということです。
ちょっと混乱するかもしれませんが、そんなに複雑なものではありません。
面白いのは人によってどの作品が”ヒッチコックカワサキ”なのかは異なるということです。
「ヒッチコックかヒッチコックカワサキか」
私にとってその基準は”美しい不気味さがあるかないか”なのでした。