あなたは、何か目標を達成するために努力をしていたのに、途中で挫折してしまい、自分を責めた経験はありませんか?
自分に厳しく自分を律することができる人は、人として素晴らしいイメージがありますが、実際には”自分に厳しくすること”はメリットよりもデメリットの方が多いようです。
今回はその理由を紹介します。
”自分に厳しく”は「どうにでもなれ効果」を招く
ダイエットの為に間食を控えていた、それなのについ美味しそうなケーキに手を出してしまった。
「あぁ、またやってしまった。だから自分は駄目なんだ。もっと真面目に取り組まなければ!」。
こういった後悔や罪悪感に苛まれているうちに「もうダイエットなんてどうでもいいや」と諦めてしまう。
これをある心理学者は「どうにでもなれ効果」と名付けました。
本当は一度失敗しただけなのだから、次は同じ失敗を繰り返さないように頑張り続ければいいのに、たった一回の失敗で全てを投げ出してしまう。
「どうにでもなれ効果」はこんな怖さを秘めています。
この恐ろしい「どうにでもなれ効果」は全ての人に起こるわけではありません。
「どうにでもなれ効果」が起こりやすいのは、ズバリ”自分に厳しい人”なのです。
自分に厳しい人は、自分の失敗をなかなか許すことができません。
そのため、失敗をしてしまうと後悔し、罪悪感を抱き、「自分は駄目な人間だ」と自己批判をします。
「どうにでもなれ効果」はこの、後悔や罪悪感、自己批判の感情によって引き起こされやすいのです。
自分をなぐさめて「どうにでもなれ効果」を防ぐ
ではどうすれば「どうにでもなれ効果」を防ぐことができるのでしょうか?
その方法は「自分をなぐさめる」のです。
後悔や罪悪感、自己批判の感情から「どうにでもなれ効果」が引き起こされてしまうのですから、そもそも最初からこれらの感情を抱かなければいいのです。
その為には失敗した自分を”責める”のではなく”励ます”といいのです。
ある実験で、失敗をしてしまった人達を2つのグループに分けて、一方のグループは自分に厳しく接してもらい、もう一方のグループには励ましの言葉をかけたところ、励まされたグループの方が目標達成の為に継続して努力し続けられたことが分かっています。
励ましの言葉をかけられなかったグループの方は「どうにでもなれ効果」が起きてしまい、ほとんど挫折してしまいました。
この実験からも分かるように”自分に厳しく”は、何か目標を達成したい場合には有効的ではないことが分かります。
努力している途中で失敗してしまっても「大丈夫。次は上手くやれるはずだ。」と楽観的に励ます方が、「どうにでもなれ効果」を防げる点で自分に厳しく接するよりも、はるかに目標達成への近道になるのです。
また、「自分は駄目だ」と自己批判することは「どうにでもなれ効果」を招きやすいだけでなく、うつ病の最大の予兆だとも言われています。
これに対して自分への励ましは、やる気の向上や自制心の強化にもつながることが分かっています。
目標達成の為には、いかにやる気を維持し続けられるかが重要です。
その為にも、失敗した自分を”責める”のではなく”励まし”ましょう。
”自分に厳しく”の意外な落とし穴
自分に厳しくすることが、目標達成を妨げてしまう理由がもう1つあります。
それは自分に厳しい人ほど”失敗を自分のせいだと受け入れられない”のです。
失敗をすることは誰しも嫌です。そしてその失敗を犯してしまったのが自分のせいだと認めるのは苦痛です。
自分に厳しい人は、自分を責めることで心の中が後悔や罪悪感でいっぱいになっています。
相当なストレスがかかっていて余裕がない状態です。
ただでさえ余裕がないのに「この失敗は自分のせい」だと受け入れることなんてできません。
だから大抵は「あの人にこう言われてイライラしていたから」とか「今日はツイてなかったから」と失敗を何か他のせいにしてしまいます。
これが目標達成の障害になるのです。
しかし、自分を励まし楽観的な人は心に余裕があります。
だから、「この失敗はこれが原因だった。だから、今度からこれをするときは気を付けよう」と自らの失敗を受け入れ、冷静に分析することで同じ過ちを繰り返さないようにできるのです。
そしてこれが目標達成につながります。
失敗をして、いくら自分を責めても何の解決にもなりません。
目を向けるべきは”失敗した自分”ではなく”失敗をした原因”にあります。
失敗しても失敗をした自分を励まして、「次はどうすればこの失敗を防げるだろうか?」と考えて一歩先に進みましょう。
何度も振り出しに戻る―いつわりの希望シンドローム
「どうにでもなれ効果」が起きてしまったこと、つまりそれは目標達成の為に努力することを諦めてしまったことを意味しますが、この結果さらに恐ろしい現象を招いてしまう可能性があります。
それは「いつわりの希望シンドローム」です。
自分に厳しくしていた結果、全てがどうでもよくなって投げ出す、すると罪悪感がさらに増大する。
人はこの罪悪感に耐え続けることが出来るほど精神がたくましいわけではありません。
この罪悪感をどうにかしたい。
そこで人は「次こそちゃんとやろう!」と新たな目標を立て、その目標を達成する決心をします。
新たな目標を立てた時は罪悪感はサッパリなくなり、心の中は希望で溢れワクワクします。
「ようし、明日からダイエット再開だ!」
果たして、本当に次こそはダイエットは成功するのでしょうか?
いいえ、結局また壁にぶつかり、また自分を責め、全てがどうでもよくなって投げ出します。
そしてまた新たな決心をする・・・これが「いつわりの希望シンドローム」です。
「いつわりの希望シンドローム」を繰り返すことは、非常に簡単です。
だって挫折する度に新たに決心すればいいだけですから。
だから、繰り返してしまいやすいのです。
もし、あなたが何度も同じ目標に取り組んでいる自覚があるのなら、もしかしたら既に「いつわりの希望シンドローム」に陥っているのかもしれません。
新たな決心をすること自体は良いことですが、それが単に罪悪感を拭い去るためのものでないか注意が必要です。
自分を励まし続けよう
自分に厳しくすることのデメリットをまとめると、
・「どうにでもなれ効果」を招きやすくなる
・うつ病を発症してしまいやすくなる
・失敗を受け入れにくくなる
・「いつわりの希望シンドローム」を繰り返しやすくなる
・これらの結果、目標を達成させることがますます困難になる
このようになります。デメリットだらけです。
なので今まで自分に厳しく鞭を打っていた人は、これからは失敗しても自分を励まし続けましょう。
そうすると、きっと今までよりも目標を達成しやすくなったことに気付けるはずです。
人は誰しも失敗します。逆に人は失敗からしか学べません。
つまり、目標達成に失敗は避けて通れないのです。
”失敗した自分”ではなく、”失敗”そのものに目を向け前に進み続けましょう。
それでは~。
参考にした本
今回紹介した内容はこちらの本を参考にしました。
興味を持った方は是非読んでみてください。